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【コラム】この国の主は誰ですか=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
母はきれいな服を着てまた外出した。「用事があって少し出かけてくるので、たまっている皿洗いと洗濯、掃除をして、宿題も全部終わらせておきなさい」と言った。戸締まりを忘れないようにという言葉も忘れなかった。言うことをよく聞く子どもたちは「はい、お母さん、安心して行ってらっしゃい」と言って手を振る。

パリで開催される国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)のために出国する朴槿恵(パク・クネ)大統領の姿をテレビで見ながら、このような印象を受けた。大統領は見送りに来た政府・与党代表、院内代表と握手を交わし、しばらく言葉を交わした。手を振って搭乗口に行く大統領は明るい笑顔だった。3日前まで体調が悪く、元大統領の告別式にも出席できなかった朴大統領だ。

すでに1年の最後の月に入った。2015年のカレンダーもあと1枚しか残っていない。皆さんの今年1年はどうだっただろうか。人によって差はあるだろうが、満足や喜びよりも後悔や物足りなさが残っているのではないだろうか。人間は社会的な動物だ。共同体を離れて生きることはできない。個人の福せと不幸は多かれ少なかれ共同体の影響を受けるしかない。共同体の浮き沈みによって起伏もある。今年1年、我々が生きている大韓民国という共同体はどうだっただろうか。墜落する姿を残念に、時には恥ずかしく眺めたというのは、私だけの所感だろうか。


大韓民国はわずか半世紀間で産業化と民主化に成功した誇らしい国だ。援助を受ける国から与える国になった。大韓民国の現代史を語る上で欠かせない「クリシェ」のような言葉だ。私はこの言葉にもううんざりしている。なぜか鳥肌が立つ感じだ。それでどうなったのか。果たして我々は今、幸せなのだろうか。世界最高の自殺率と高齢者貧困率、世界最低の出生率は何を意味しているのか。階層間の格差はますます広がり、希望のはしごは断たれて久しい。いくら努力しても土は金に勝つことができない。大学を卒業しても良い職場に就職するのは非常に難しい。「ヘル朝鮮」を恨む青年のため息が国を包み込んでいる。

それだけではない。外国メディアまでが韓国の民主主義を心配する状況になっている。先日、米国のニューヨークタイムズは「昼と夜のように韓国と北朝鮮を明確に区別した民主的自由を、朴大統領が退行させようと決意したようだ」という社説を載せた。韓国に対する国際的評判において最も大きな危険は、経済的なものよりも歴史を書き直し、批判者を抑圧する朴大統領の過酷な措置にあるということだ。



【コラム】この国の主は誰ですか=韓国(2)

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