梶田隆章氏(写真左)とアーサー・マクドナルド氏。
物理学界ではニュートリノの質量に対する議論が着実に進んでいた。質量がゼロ(0)という主張と、わずかだが質量があるという主張が対抗したまま誰も質量を測定できなかった。20年以上続いた論争に終止符を打ったのは梶田氏だ。彼は日本の岐阜県の廃鉱山の地下1キロに作ったニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」を活用した。カミオカンデには巨大な水槽に5万トンの水が保存されているが、ここに入ってくるニュートリノの中のきわめて一部は電子と衝突して反対方向に飛んで上がる。梶田氏は98年、ニュートリノが観測装置に到達する前に振動を起こして別のニュートリノに変身する過程を確認した。これによってニュートリノの質量が電子の100万分の1に該当するという結論に到った。マクドナルド氏はこれとは別に重水(重水素と酸素が結合した水)実験によって質量測定に成功した。
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