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産業技術流出、昨年だけで111件…年間50兆ウォンの被害=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
昨年2月、現代自動車協力会社社員のチョ氏(29)が中国・北京汽車の新車「C51E」の開発プロジェクトを担当するD社に派遣勤務をした時だった。職場の上司から「現代自動車の設計図面などをD社のサーバーに上げておくからダウンロードするように」という隠密な指示を受けた。チョ氏は現代自動車「サンタフェ」と起亜自動車「K7」「プライド」などのバンパー設計図面など80件余りをダウンロードし中国の新車開発に活用した。中国D社に派遣されてきた別の協力会社社員のキム氏(34)も韓国の協力会社社員を通じ「ソレント」「I20」「K5」「スポーテージ」「モハベ」など最新車両の設計図面などを持ち出した。

ソウル中央地検は16日、現代自動車の新車設計図面など核心機密を持ち出した容疑(営業機密漏洩)でチョ氏とキム氏ら12人を起訴したと明らかにした。産業機密流出の被害は中小企業で深刻だ。韓国のタングステン超硬合金耐摩耗分野でトップのシンセン工業は2011年に434億ウォンに達した売り上げが昨年は310億ウォンと29%減った。この会社の元役員だったA氏が退社して競合企業となるK社を設立してシンセン工業と類似する製品を生産したためだ。検察の調査の結果、K社は当時B氏らシンセン工業の核心人材30人余りを採用する過程で約4000件の金型設計図面ファイルも持ち出していたという。これを通じK社は設立から4カ月で類似製品を生産し、2012年に57億ウォン、昨年は102億ウォンの売り上げを記録した。結局A氏らは業務上背任などの容疑で起訴された。だが、シンセン工業側は「検察は普段から営業機密をしっかりと保護していなかったという理由で営業秘密流出容疑を適用しなかった」として裁判所に裁定申請を出した状態だ。

スマートフォンとUSBメモリー、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じ容易に複製・伝送が可能になり、企業の命である産業機密の流出被害が急増している。警察が摘発した産業技術・秘密流出事件だけで2010年の40件から昨年は111件に3倍近く増えた。海外から技術を持ち出す産業スパイ犯罪も急増し、国家情報院はこの5年で229件を摘発した。核心技術流出で企業が受けた被害規模だけで年平均国内総生産の3%水準となる50兆ウォンに達すると推測される。


ソウル地方警察庁国際犯罪捜査隊は3日、自身が通っていた会社のカメラレンズ製作技術を持ち出して新製品を作り海外に販売しようとした容疑(不正競争防止法違反など)でキム氏(41)を拘束し、チョン氏(44)ら7人を不拘束立件した。彼らは2013年3月から今年2月までカメラレンズメーカーB社から設計図面など278件の営業秘密を持ち出し、慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)に製造工場まで立てたことがわかった。

技術流出犯罪はハッキングなどの手法で密かに進められ捜査は容易でない。被害者である企業側も株価下落などの二次被害を懸念して通報を敬遠することも問題だ。ソウル地方警察庁のキム・ドングク産業技術流出捜査チーム長は「中小企業は大企業のようにセキュリティ専従チームを作ったりセキュリティ施設を備えることができない状況で、営業秘密保護努力を尽くさなかったという理由で秘密と認められないケースも多い」と話した。また「犯人が犯行に使ったデジタル資料を消せば復旧が困難だ。警察など関連機関に該当事実を知らせるなど速やかに協力を受けなければならない」とした。

韓国産業保安研究学会のキム・ミンベ会長は「営業秘密の流出で得られる利益が処罰の可能性に比べはるかに大きいため産業技術流出は絶えることなく続く。専門捜査人材養成だけでなく関連法令に実効性を持たせるよう改正する努力が急がれる」と話した。



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