ついに和解はなかった。辛格浩（シン・ギョクホ、重光武雄）ロッテグループ総括会長（９４）と次男の辛東彬（シン・ドンビン、重光昭夫）会長（６０）が３日、向かい合って座った。辛総括会長の執務室があるソウル小公洞（ソゴンドン）ロッテホテル３４階だった。経営権をめぐる不協和音が広がり始めた先月８日以降、初めての２人の対面だ。３日、東京羽田空港から大韓航空２７０８便に乗って１週間ぶりに帰国した辛東彬会長が最初に訪ねた場所でもある。

頭を下げて入ったが、あいさつをした後、追い出されるように席を外した。父の辛格浩総括会長は対話を続けるのを拒否した。ロッテグループの関係者は「最近の事態をめぐる親子間の疎通は行われないようだ」と伝えた。この場合、残されたのは韓日ロッテグループの頂点にある日本ロッテホールディングス株主総会と予想される兄・辛東主（シン・ドンジュ、重光宏之）前日本ロッテ副会長（６１）との訴訟戦だ。

次男の辛東彬会長は帰国直後、空港から、経営権紛争から退かず韓日ロッテを自分が引っ張っていくという意志を表した。「事態が速やかに解決され、総括会長の創業精神に基づき、国内外の企業を早期に正常化して安定させるのが自分の役割だと考える」。


１９４８年に日本でロッテグループを設立して以来６７年間続いた辛格浩総括会長の「指経営」と衝突する可能性があることを見せる部分だ。「指経営」とは、辛格浩総括会長が先月２７日に東京に行き、ロッテホールディングスの役員を集めて指さしながら「お前は出て行け」と解雇したことなどから、オーナーが独断的に主要決定をすることをいう。辛東彬会長の側近は「辛会長が父の意思を無視することは絶対にない」とし「高齢者の父の指を動かすのは父の脳ではなく周囲の人々という考えのため、株主総会と訴訟を辞さない」と話した。

辛東彬会長は兄の辛東主前副会長が公開した自身の解任指示書に関する質問に対し、「法的な効力がない声（文書）と考える」と断言した。

辛東彬会長は空港で３回も頭を下げた。「国民の皆様にこのような事態が生じたことについて本当に申し訳なく思う」と述べ、経営権紛争で物議をかもした点について繰り返し謝罪した。辛東彬会長は「私は（総括）会長のそばで役職員とともに株主のために、そして国民とともにロッテを育てた」とし「国家経済の発展に尽くせるよう渾身の努力をする」と述べた。ロッテは日本企業ではないのかという指摘に対しては「韓国企業」と強調し、「９５％の売り上げが韓国で生じている」と話した。