ソウル逸院洞(イルォンドン)のサムスンソウル病院の待合室で来院者が28日、黄教安(ファン・ギョアン)首相が事実上のMERS事態終了を宣言する姿をテレビで見守っている。
政府の終息宣言は国際基準とは差がある。世界保健機関(WHO)は患者がいなくなった日から28日が過ぎて初めて終息したとみる。ところが現在、陽性の患者が1人残っている。それでもこうした宣言をした理由は、景気の悪化をこれ以上放置できないという判断からだ。保健福祉部の関係者は「すでに街中からはMERSの感染源が消えたので休暇・行事・旅行・レジャーだけでなく消費までも平常時のようにしてほしいという意」と話した。中国人観光客にも「安心して韓国に来てほしい」というメッセージを送ったことになる。
政府の終息宣言が出てくると、すぐに広州市・山東省・四川省など中国の地方政府やチェコ・ロシア・台湾・アラブ首長国連邦(UAE)・モンゴル・ベトナムなど7カ国が韓国訪問の自粛勧告を解除した。外交部は「中華圏やアジア諸国の韓国行きの観光ビザ申請が今月下旬から増加傾向を見せている」と明らかにした。
ソウル大学医大感染内科のオ・ミョンドン教授は「地域社会の感染リスクがないので、もう少し早く終息宣言をするべきだった。病院でも感染患者がいなくなればその時に病院感染の終息宣言を別にやればいい」と主張した。最後に残った患者は80人目の患者(35)だ。サムスンソウル病院の応急室で感染して先月7日に確診判定を受けた。リンパ種(血液がんの一種)の患者で骨髄移植を受けた。坑がん・免疫抑制治療を受けるのに免疫力が落ちているためMERSウイルスが消えていない。医療スタッフは「MERSによる肺炎はそれほど深刻な方ではなく、まもなく完治する」としながら「8月最後の週が終息日になるようだ」と話した。政府は現在治療中である12人の患者(MERSは陰性)に対して治療費を支援する。このうち35人目の患者(38、サムスンソウル病院医師)は家族の要請によりサムスンソウル病院にまもなく移送される。
MERSが事実上終息したとしても、いつでも中東旅行客の中から新規患者が流入する可能性がある。今でも2人の中東訪問客が空港で発熱が見つかり隔離されている。政府は空港での発熱監視を継続することにした。
国会MERS対策特別委員会は28日に最後の会議を開き、政府とサムスンソウル病院に対する監査院の監査決議案を議決した。政府の不十分な初動対応と情報非公開の決定過程などを、サムスンソウル病院のMERS患者措置と政府対策の適正性の可否について監査することを要求した。監査院は3カ月以内に監査結果を国会に報告しなければならない。
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