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【取材日記】米歴史学者が朴大統領に呈する苦言

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・フェリョン記者

1998年7月1日、米ニューヨークのカーネギーホールの舞台にジャズ演奏者5人が立った。年齢は70歳代から90歳代、当時の米国には近くて遠い国キューバから来た音楽家だった。バンド名は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。1930-40年代にキューバのジャズ界で一世を風靡したが、社会主義革命後にジャズ人気が落ちて姿を消した人たちだ。首都ハバナの路地裏で靴磨きをしながら生計を立てたコンパイ・セグンド(1907-2003)らを噂を頼って捜し出したのは、米国人音楽プロデューサーのライ・クーダーだった。

61年の国交断絶に続き、翌年のキューバミサイル危機まで、米国とキューバの間の外交は綱渡りだったが、民間の文化交流は継続し、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブはその努力の結実だった。彼らのアルバムは全世界で800万枚売れ、大ヒットした。ニューヨークタイムズはカーネギーホールでの公演を「歴史に残る公演」と絶賛した。

米国人歴史学者のアレクシス・ダデン・コネチカット大教授は最近、統一部の黄富起(ファン・ブギ)次官にブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの話をしたという。ダデン教授は知韓派でありながら日本語で日米関係を講義する知日派だ。先月は安倍首相に旧日本軍慰安婦の歴史を直視するよう求める世界187人の歴史学者共同声明を主導した。そのダデン教授が朴槿恵(パク・クネ)大統領の14-18日の訪米を控え、黄次官に述べた言葉だ。


「日本は考えないでほしい。その代わりに北朝鮮に集中すれば、訪米の意味はより大きなものになるだろう。ワシントンもこれを望んでいると聞いた」。

そして「北朝鮮版ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを作るのがよい」と助言したという。民間交流を通じて北朝鮮の扉を少しずつ開いてみようということだ。

ダデン教授が「ワシントンもこれを望んでいる」と述べた背景は何か。ダデン教授は「昨年キューバと国交正常化の第一歩を踏み出したオバマ大統領には、北朝鮮とのデタント(緊張緩和)が韓日の歴史葛藤より魅力的」と述べた。「北朝鮮とのデタントを率いる主役は韓国が適任者」という言葉も忘れなかった。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを冬眠から起こしたライ・クーダーの役割を韓国政府がするよう要請したのだ。

ダデン教授は朴大統領の訪米が「日本フレーム」に固まるのを懸念した。ダデン教授は「ミッシェル・オバマ夫人の(3月の)訪日を控え、日本外務省が米国務省に『慰安婦の話は絶対にしないでほしい』という条件を掲げた」と耳打ちした。悩んだ末、米国はその条件を受け入れたという。米国がこうした決定をした行間を韓国政府は読み取らなければいけないという意味だった。ダデン教授は「安倍首相の訪米に最も大きな関心を見せたのは米国人ではなく韓国人だった。韓国が日本首相の米国訪問にあれこれという印象を与え、日本だけが利益を得た」と惜しんだ。

チョン・スジン政治国際部門記者



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