二つ目は、労働界・財界など利害集団の意見をまとめるものの、合意できなければ政府がリーダーシップを発揮しなければいけないという点だ。労働市場の柔軟化措置は労働界の反対、最低賃金の導入は財界の反発を招いた。シュレーダー政権も改革初期には韓国の労使政委員会のような合意機構を稼働させたが、労使が政府に要求ばかりし、お互い譲歩しなかった。結局、シュレーダーは政府主導で改革を終えた。これは労使政の大妥協が失敗に終わった韓国が注目するべき点だ。合意の過程で双方の主張を十分に聞いただけに、政府主導の「Ｂプラン」を進めるということだ。

三つ目は、構造改革を速く進めるほど効果が大きいという点だ。共産圏の崩壊でベルリンの壁が崩壊したが、ドイツは過酷な統一後遺症に苦しんだ。シュレーダーは「統一から１０年経過してこそアジェンダ２０１０が貫徹されたが、いま考えてみるとあまりにも遅かった」と述べた。彼は韓国が北朝鮮との統一に備えるには今から構造を改革することが必須だと助言した。

キリスト教民主同盟（ＣＤＵ）のメルケル首相は社会民主党（ＳＰＤ）と連立政権を構成している。シュレーダーが推進した最低賃金制はライバル党のメルケル首相時代に実現した。与野党が争って「改革のゴールデンタイム」を逃す韓国政界の姿とは対照的だ。新政治民主連合の文在寅（ムン・ジェイン）代表はこの日、シュレーダー元首相と会い、「ドイツ経済の成功の理由を統合の政治に見いだしたい」と述べた。正しい言葉だ。韓国社会が改革に成功するには政派を超越した政界の協力が何よりも重要だ。実際、現政権が推進している労働市場改革、公務員年金改革は、文代表の政治的な同志である盧武鉉（ノ・ムヒョン）元大統領が推進したものと方向が似ている。与党から野党になったからといって反対ばかりすることではないということだ。政派の利益より国益を先に考えること。シュレーダー元首相が済州フォーラムを通じて生きた肉声で伝えたドイツの構造改革のうち、韓国が最も学ばなければいけない点だ。

【社説】「政派より国家を優先してこそ改革は成功する」＝韓国（１）