「成完鍾（ソン・ワンジョン）リスト」に名前が書かれていた金淇春（キム・ギチュン）前大統領秘書室長が日本に行ったことが伝えられ、国会と検察の周辺で「逃避性出国」という見方が広まった。金氏は１９日昼１２時３５分、金浦（キンポ）空港から全日本空輸（ＡＮＡ）８６４便で羽田空港に向かった。金氏側の関係者は「夫人の持病の治療のために１泊２日の日程で日本に行った」とし「かなり以前から病院に予約しておいた日程」と説明した。

金氏の夫婦とともに飛行機に乗った一部の乗客はフェイスブックで、「この人はなぜ東京に行くのだろう」というコメントを載せた。また、金氏の携帯電話から「海外ローミング中」という案内コメントが出ると、２０日午前、一部のメディアは逃避性出国疑惑に焦点を合わせて金氏の日本行きを報じた。新政治民主連合の朴智元（パク・ジウォン）議員もこの日午前、国会法制司法委員会で黄教安（ファン・ギョアン）法務部長官を相手に「（成完鍾）リストの８人を出国禁止にせず（この人たちが）出国したとすれば、検察に疑惑と非難があるはず」とし「すべての捜査をメディアが先に、検察が後に騒ぐのは望ましくない」と指摘した。

しかし金氏は２０日午後６時４５分、日本航空（ＪＡＬ）を通じて金浦空港に戻り、逃避性の出国疑惑は消えた。


しかし波紋は広がった。検察が金氏に対して出国禁止措置を取っていないことが明らかになったからだ。検察の内部からは、金氏に出国禁止措置が取られないのは意外だという反応が出てきた。最高検察庁のある幹部は「海外逃避の可能性がほとんどない調査対象者とはいえ、出国禁止にするのが一般的」とし「捜査チームはいくつか事情を考慮したのだろうが、疑問を感じるのは事実」と述べた。

検察の内外では、検察総長と法務部長官を務めた金氏に対する「手抜き捜査」という批判を避けられなくなったという指摘も出ている。ソウル中央地検のある部長検事は「検察が世論の批判に直面する可能性がある」と懸念を表した。黄長官は法制司法委員会で、「（出国禁止など）必要な措置を必要な時に正確にする」と明らかにした。特別捜査チームは「捜査チームが現段階で答えるのは不適切だ」とのみ釈明した。