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【取材日記】一方的な賃上げ通知…損をするのは北朝鮮だ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

中国の西洋集団が北朝鮮の一方的な税金引き上げ通知で手を引いた咸鏡北道の茂山鉄鉱。(写真=中央フォト)

中国500大富豪に入る西洋集団の創業者、周福仁会長は、北朝鮮と聞けば首を横に振る。巨大鉄鋼企業を築いた周会長に2億4000万元(約46億円)にのぼる投資の失敗を抱かせたからだ。西洋集団は2012年、インターネットに「北朝鮮投資は悪夢」とし「北朝鮮が詐欺師であることは確実に知った」と猛非難した。

西洋集団は2006年、咸鏡北道で茂山鉄鉱の開発に入った。茂山鉄鉱は金日成(キム・イルソン)主席が生前に「宝」と呼んだアジア最大の鉱山に挙げられる。

問題の発端は北朝鮮の一方的な契約変更だった。2008年に北朝鮮は一方的に「資源税25ポイント引き上げ」を通知した。西洋集団は撤退を決めた。驚いた北朝鮮は最高人民会議常任委員会名義で「当初の契約通りにしよう」という文書を出した。しかし2011年に西洋集団が茂山鉄鉱で高級鉄鋼生産に成功すると、北朝鮮は突然、朝中勤労者同一賃金要求など16の新しい要求事項を持ち出した。西洋集団がこれを拒否すると、北朝鮮は一方的に契約を破棄し、停電・断水措置を取った。結局、西洋集団は追い出された。


現在の開城(ケソン)工業団地の事情が当時と同じだ。北朝鮮は昨年11月、最高人民会議常任委の決定で開城工業団地の13の賃金関連条項を一方的に変え、韓国側に通知した。南北双方が合意して5%以下と定められた賃金引き上げ率を5.18%に上げると主張した。政府は0.18ポイントのジレンマに陥った。当局者は「0.18という数字が問題ではなく、一方的な通知が問題」と口をそろえる。北朝鮮の立場を受ける場合、西洋集団の悪夢が再現されるおそれがあるというのが政府の判断だ。

被害が生じるのは企業側だ。25日に第10回開城工業団地企業協会定期総会で会った企業関係者は心配の表情だった。賃金支給日の10日が近づくが、南北当局は平行線をたどっているからだ。この日、協会のチョン・ギソプ会長は「北は全く合理的でない」と嘆いた。西洋集団の周会長の心と通じるようだった。

はっきりしているのは西洋集団の件で最も損が大きかったのは北朝鮮という点だ。中国の投資家はロシアに奪われ、茂山鉄鉱は昨年生産を中断した。小貪大失だ。

北朝鮮も海外からの投資の必要性は痛感しているようだ。昨年、中国遼寧省では海外投資説明会もした。もちろん「北朝鮮投資で失敗したケースは法的手続きを確認せずに契約したため」という詭弁を弄したが。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は連日、製パン技術(25日)と体育(26日)の国際化を強調している。いま北朝鮮が国際化するべきことは、バゲットやアーチェリーの実力よりも信頼であるようだ。

チョン・スジン政治国際部門記者



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