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【取材日記】表現の自由に変身する犯罪たち…ヘイトスピーチ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・フェリョン

昨年8月のことだ。鋭く対立していた韓日関係をテーマにテレビ討論が展開された。討論を終えて控室に戻る記者に、同じパネリストとして出演した当時の自民党外交部会長・城内実(50)現外務省副大臣は大言壮語した。「最近、安倍晋三首相からヘイトスピーチ(特定の民族・人種などに対する嫌悪発言・デモ)を根絶するタスクフォース(TF)を設けろとの指示を直接受けた。しっかりと処理するつもりだ」。

在特会(在日特権を許さない市民の会)をねらった措置だった。在特会は東京のコリアタウンなどを練り歩いて「在日韓国人を追い出そう」と叫ぶ極右集団だ。2012年頃から始まった彼らの妄動を日本政府は事実上、放置してきた。国連が法規制を促しても「我関せず」だった。それで「ああ、遅れたけれども日本政府もこれで、しっかりとこの問題にかかわるだろう」と思った。

約5カ月が過ぎた14日付の産経新聞に「ヘイトスピーチを許さない」という題名の記事が掲載された。好奇心で詳しく読んでみると日本の法務省が最近出したヘイトスピーチ対策を紹介して高く評価する記事だった。今後、日本政府は「ヘイトスピーチを許さない」という文面のポスターを作って配布し、インターネット広告を始めるという。


もちろん、しないよりは良い。だが、これまでのヘイトスピーチ規制議論が結局、ポスターを何枚印刷して新聞やインターネットに広告をほどほどに出すことで終わるならば、実にあきれることだ。日本の法務省のホームページを入ってみると「国会審議でも(安倍)首相や法務大臣が『現行法』の適切な適用によって…言及した」と明記していた。事実上ヘイトスピーチを規制する新しい法律を作る考えがないことを表わしたのだ。

野党の超党派連盟議員が昨年11月「ヘイトスピーチ=違法行為」と規定する法案を提示したが、安倍首相が率いる巨大与党の壁に遮られて全く力を出せていない。

最近会った日本政府の与党関係者に問いただした。だが「ヘイトスピーチが悪いのは分かるが、それでも表現の自由を損ねてはいけない」という返事だけだった。フランスの『シャルリー・エブド』の風刺画を「ヘイトスピーチの自由」に例える人もいた。一言で言うと無概念が大手を振るっている。

国連の人種差別撤廃委員会が明らかにした「ヘイトスピーチはデモではなく『暴力的威嚇』」「(バスケス米国代表)という表現を引用する必要もない。日本がポスター何枚で目隠しをして「犯罪」を「表現の自由」に変身させる国ではないだろうという私の信念が合っていればと思う。参考に『シャルリー・エブド』の国フランスさえ、ヘイトスピーチは法で厳格に規制している。

金玄基(キム・ヒョンギ)東京総局長



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