先月、韓国内の自動車登録台数が２０００万台を越えた。ソウル・オリンピックが開かれた１９８８年に２００万台だったから、２５年で１０倍に増えた。国民所得増加で自動車保有は普遍化したし、ライフスタイルの変化に多大な影響を及ぼした。しかし文明の利器である自動車がもたらす多様な便利さと楽しみの裏面には誰にでも起りうる交通事故という否定的側面が存在する。

交通事故は車両を修理する費用だけでなく人命損失による莫大な社会的費用が伴い、事故当事者の精神的被害も非常に大きい。交通事故率と死傷者は増加した車両台数を考え合わせると過去に比べて大きく減少したが交通先進国と比較すると依然として高い。政府が交通事故を減らすための多様な政策を推進しているが、画期的な変化は工学的技術を基盤とした事故防止安全装置開発に対する支援、法制度整備で探さなければならないと考える。

最近自動車業界の話題は断然「自律走行自動車」だ。２０１０年グーグルが世界で初めて自動車の自律走行技術を公開して以来、自動車製作会社は運転者なしで車両が自動的に走行できる自動車の開発競争を行っている。自律走行自動車を可能にする要因はセンサーと車両制御技術の発展だ。最近これを利用して交通事故を予防するための先端運転者支援システム（ＡＤＡＳ）が次から次へと開発・適用されている。


自動車安全装置のパラダイムが安全ベルト、エアバックのように事故が発生する場合作動する「事後」システムから事故を未然に防止する「事前」安全装置に進化しているのだ。事故防止安全装置は交通状況をモニタリングして事故が差し迫った場合、警告を与えて車両が自動的に制動および操向を遂行して事故を予防するシステムとして自動非常制動装置、前方衝突警告装置など種類も多様だ。そのうち交通事故を画期的に減少させると期待されている装置が自動非常制動装置（ＡＥＢ）だ。海外ではすでに自動非常制動装置など先端安全装置を評価してその結果を消費者に知らせている。実際の交通事故データを分析した結果でも自動非常制動装置が装着された車両の事故率が低いと調査された。また、英国、ドイツなどの海外保険業界では自動非常制動装置が装着された車両に対して保険料を割引する制度を運営している。これを通じて自動車製作会社の先端安全装置開発および装着拡大を促して消費者の選択を誘導している。金融産業が自動車産業を支援し共生を導いて交通事故を減らすことで社会的費用軽減にも寄与する代表的な事例だ。



【コラム】エアバックだけでは足りない＝韓国（２）