「情熱に機会を」。昨日解体を宣言した韓国野球初の独立球団、高陽ワンダーズのスローガンだ。「野球の神」金星根（キム・ソングン）監督は昨日、選手２５人の前で「本当に申し訳ない。君たちにもうチャンスを与えられなくなった」と述べ、涙を浮かべた。野球人をはじめ、多くの人たちが高陽ワンダーズの解体を惜しむのは、この球団が創立後３年間に収めた９６勝６１敗２５分けという優れた成績のためではない。毎年３０億ウォン（約３億円）以上を投入し、いかなる見返りもなく選手２３人を育成してプロ球団に送ったホ・ミン球団オーナーの善行のためでもない。高陽ワンダーズが解体すれば、どのプロ野球球団にも呼ばれていない選手が再起と復活という貴重な機会を奪われるという心配のためだ。

まだ韓国には米国や日本で見られる厳密な意味での独立リーグはなかった。プロ球団の新人ドラフトで指名を受けられなかったり、球団が放出した選手がプレーできる空間は、ワンダーズが唯一だった。もちろんワンダーズが歴史の中に消えるまで、韓国野球委員会（ＫＢＯ）と従来のプロ９球団がもう少し包容力を発揮して支援していればという思いが残る。「制度圏の外にとどまりながら未来が約束されなかった」というハ・ソン・ワンダーズ団長の発言には、野球界内部のあつれきと既得権の壁に対する思いがにじみ出ている。しかしプロリーグの会員会社でない独立球団をフューチャーズリーグに正式に参加させるのは、ＫＢＯやプロ球団ともに現実的に難しかっただろう。外国の独立リーグもマイナーリーグとは区別されている。

いま我々はワンダーズの解体を反面教師とし、国内にも独立リーグが生存できる現実的かつ持続可能な案を見いださなければならない。ホ球団オーナーのような篤志家が出続け、１００億ウォンもの資金を注ぎ込むケースは今後期待しにくい。このため従来のプロ球団と独立リーグに所属する球団が共生できる生態系を構築するのが望ましい。このような意味で、第１０球団であるＫＴが２０１５年までの１軍進入を条件にいくつかの独立球団創設を支援するという約束は必ず守られなければならない。