米国人２人を相次いで殺害した極端主義スンニ派反乱軍のイスラム国（ＩＳ）が、ウクライナを威嚇しているロシアのプーチン大統領を名指しで公開脅迫した。ロシア報道機関とアルアラビアテレビが３日（現地時間）に報道したＩＳの動画によれば、あるＩＳ隊員がロシア製の戦闘機の上にのぼって「ウラジミール・プーチン、あなたに対するメッセージだ」として「これは、あなたがバッシャール（シリアのアサド大統領）に送った戦闘機で、私たちはあなたに再び送り返す。覚えておけ」と脅迫した。

動画はＩＳが掌握したシリアのラッカ地域のタブカ空軍基地で撮影されたものと推定された。ほかの兵士は「私たちはアラーの意によりチェチェンとコーカサス全体を解放する」として「ＩＳはアラーの恩寵で広がっていくだろう」と主張した。

彼らはまたプーチン大統領に「あなたの王座はすでに揺らいでいる」として「私たちがあなたに近づいた時、崩れるだろう」と話した。「２週間以内にキエフ（ウクライナ首都）を掌握することもできる」というプーチン大統領が、ＩＳから公開脅迫にあったのだ。彼らはアサド大統領に対しては「豚」とばかにした。動画にはロシア語で「（この戦闘機は）ロシア製の技術」と話す部分にも出てきてロシアまたは旧ソ連地域出身者がＩＳに合流したことを示唆した。


これまでＩＳは交戦の直接当事者だった米国、クルド族、シリア政府軍や英国などを狙って殺害動画などを送りだして残酷な脅迫術を駆使してきた。しかし今度は、シリアのアサド政権を支援してチェチェンとコーカサス地域のイスラム分離勢力を弾圧するという理由でプーチン大統領に照準を絞った。「強いロシア」を掲げて拡張政策を露骨化し、欧州発危機の主役になった「ツァーリ（君主）」プーチンが中東ではむしろ極端主義反乱軍勢力によって脅威を受ける境遇になった。

ＩＳの射程圏には中国も含まれている。新疆・チベットなどの分離独立の動きにきわめて敏感な中国は７月、イスラムのラマダンに合わせて新疆地域でムスリムが断食を行うことを禁止した。これに対し一部のＩＳ追従者は、ツイッターなどに中国政府に対する報復を主張した。特にＩＳの最高指導者アブ・バクル・アルバグダディが直接インドとともに中国を取り上げた。彼は７月１日、肉声メッセージでジハード（聖戦）を促して「中国・インド・パレスチナ・ソマリア・アラビア・コーカサス・レバント・エジプト・イラク・インドネシア・フィリピン・イラン・チュニジアなど東と西でムスリムの権利が強奪された」と主張した。彼は「アラーの意ならローマを占領する」としながら法王庁があるローマまで取り上げた。

自国民が２人も殺害されて国内世論が爆発している米国では、この日オバマ政権の人々が同時多発的に報復を誓った。欧州歴訪中のオバマ大統領は「私たちの目標はＩＳを解体して破壊すること」と宣言した。バイデン副大統領は演説で「ＩＳを地獄の門まで追う」として「地獄がＩＳのとどまる場所のため」と激しい表現を言い放った。ヘーゲル国防長官も「目標はＩＳ封鎖ではなく破壊」と明らかにした。