1912年4月15日、大西洋の真ん中でタイタニック号が沈没し、乗客2200人余りのうち約1500人が冷たい海の中で命を失った。102年が過ぎた2014年4月16日、476人を乗せたセウォル号が珍島沖で沈没し、172人だけが救助された。
国民は、事故申告への対応および出動はもちろん、救助過程で無能を表した海洋警察に裏切りさえ感じたはずだ。現場対応の責任を担う海洋警察だけではない。国家レベルの災難対応システムも徹底的に無力化していた。関係部処間の連携が滑らかでなく、生命救助に必要な「ゴールデンタイム」を浪費した。まもなく設置された中央事故収拾本部と中央災害安全対策本部はコントロールタワー機能を果たせなかった。
こうした惨事が繰り返さないためには、わが国の災難対応体系に対する全面的な検討を基礎に、根本的な改善がなければならない。幸い、朴槿恵(パク・クネ)大統領は5月19日の国民向け談話で、国家安全システムの再整備を約束し、政府は6月11日に首相室所属の「国家安全処」を新設するという政府組織法改正案を国会に提出した状態だ。主な目的と内容は、分散している災難・安全機能を統合管理し、災難現場の専門性・対応性を強化するための効率的かつ強力な災難安全コントロールタワーの構築と要約される。
これに対し、野党と一部の専門家は災難安全コントロールタワーの所属問題と地位および形態に異見を提示している。また、消防組織の機能・地位縮小および海上治安の弱化などに対する懸念を表している。もちろん、こうした異見と懸念はそれなりの理由と根拠があることは分かる。しかし、いかなる政府組織改編案であっても長所と短所が同時に存在する。したがって完ぺきにはなれない代案の中から時代的要求に最も合う代案を一つ選択し、その代案が持つ弱点を補完していかざるをえないのが政府組織設計の限界だ。今回の政府組織法改正案を準備した安全行政部もこうした限界を知り、近く新設される「国家安全処」では、災難及び安全管理基本法などを改正し、各部処に対する関連予算の事前協議・評価はもちろん、統合される消防と海洋警察の災難対応力を大幅に強化する予定であることを明らかにしているのではないだろうか。
したがって今回の政府組織改編案が、強力な災難安全コントロールタワー構築を通じて総合的かつ迅速な災難安全対応および収拾体系の準備という基本方向に合わせるなら、最初から正解がない政府組織法改正案を与野党間の消耗的論争や政争の対象とするのは不適切だと判断される。野党は政府組織は基本的に行政府の権限であり任務であることを念頭に改編案の審議に臨まなければならず、政府と与党は野党と一部の専門家の指摘と懸念に耳を傾けて補完する姿勢を見せなければならないだろう。
これがまさにセウォル号の犠牲者とその遺族の切実な念願であり、今回の惨事を経験した後、韓国社会が歩むべき真の贖罪の第一歩であろう。
ユ・ホンリム檀国大公共人材大学長
国民は、事故申告への対応および出動はもちろん、救助過程で無能を表した海洋警察に裏切りさえ感じたはずだ。現場対応の責任を担う海洋警察だけではない。国家レベルの災難対応システムも徹底的に無力化していた。関係部処間の連携が滑らかでなく、生命救助に必要な「ゴールデンタイム」を浪費した。まもなく設置された中央事故収拾本部と中央災害安全対策本部はコントロールタワー機能を果たせなかった。
こうした惨事が繰り返さないためには、わが国の災難対応体系に対する全面的な検討を基礎に、根本的な改善がなければならない。幸い、朴槿恵(パク・クネ)大統領は5月19日の国民向け談話で、国家安全システムの再整備を約束し、政府は6月11日に首相室所属の「国家安全処」を新設するという政府組織法改正案を国会に提出した状態だ。主な目的と内容は、分散している災難・安全機能を統合管理し、災難現場の専門性・対応性を強化するための効率的かつ強力な災難安全コントロールタワーの構築と要約される。
これに対し、野党と一部の専門家は災難安全コントロールタワーの所属問題と地位および形態に異見を提示している。また、消防組織の機能・地位縮小および海上治安の弱化などに対する懸念を表している。もちろん、こうした異見と懸念はそれなりの理由と根拠があることは分かる。しかし、いかなる政府組織改編案であっても長所と短所が同時に存在する。したがって完ぺきにはなれない代案の中から時代的要求に最も合う代案を一つ選択し、その代案が持つ弱点を補完していかざるをえないのが政府組織設計の限界だ。今回の政府組織法改正案を準備した安全行政部もこうした限界を知り、近く新設される「国家安全処」では、災難及び安全管理基本法などを改正し、各部処に対する関連予算の事前協議・評価はもちろん、統合される消防と海洋警察の災難対応力を大幅に強化する予定であることを明らかにしているのではないだろうか。
したがって今回の政府組織改編案が、強力な災難安全コントロールタワー構築を通じて総合的かつ迅速な災難安全対応および収拾体系の準備という基本方向に合わせるなら、最初から正解がない政府組織法改正案を与野党間の消耗的論争や政争の対象とするのは不適切だと判断される。野党は政府組織は基本的に行政府の権限であり任務であることを念頭に改編案の審議に臨まなければならず、政府と与党は野党と一部の専門家の指摘と懸念に耳を傾けて補完する姿勢を見せなければならないだろう。
これがまさにセウォル号の犠牲者とその遺族の切実な念願であり、今回の惨事を経験した後、韓国社会が歩むべき真の贖罪の第一歩であろう。
ユ・ホンリム檀国大公共人材大学長
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