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【取材日記】 「韓国がなかったら廃刊していた産経新聞」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・フェリョン記者

日本赴任前、東京特派員だった先輩に聞いた忠告を今でも記憶している。「産経は絶対引用するなよ。全部ウソだから」

当時はそのまま笑って受け流した。実際、特派員生活をしてみると産経記事にも紹介するだけの記事が時々あった。「ものごとをこのように180度反対から見ることもできるのだな」と考えさせてくれた。日本社会の多様さを見せているのだと思って肯定的に理解しようとした。しかし最近の産経報道を見ていると、度を越しているという感じを拭えない。いくつか例を挙げてみたい。

23日付1面トップ記事は、今月11日にソウルで開かれた慰安婦問題解決を促す「水曜集会」関連の記事だった。集会現場に、8日に亡くなったペ・チュンヒさんの遺影があったことをめぐり、産経は大きな見出しを選んでこのように書いた。「慰安婦は、死してなお対日歴史戦の戦士と祭り上げられ、反日の道具と…」。生前に日本が犯した人権蹂躪(じゅうりん)に対してちゃんとした謝罪も受けられないまま無念に生涯を閉じた女性の死を、あきれることに「反日の道具」云々して蔑んだ。論調どうのという次元を離れて低質の極みだ。


韓国側の人物の発言を前後すべて切り落とし、自分たちの都合のいいように論点を換えるのもよくあることだ。17日付では河野談話発表当時、駐日大使館として勤めた元当局者が「日本側から『内々に相談に乗ってほしい』と要請があった…(中略)…『総じて』とある。こうした表現ならば大丈夫ではないか、などの意思表明をした」と述べたことをめぐり、「韓国側の当事者が、すり合わせは日本側の求めに応じたものだと証言したことで、(河野)談話の『嘘』がまた一つ明るみに出た形となった」と変身させた。

23日には「ワールドカップサッカーの韓国-アルジェリア戦の途中、アルジェリア選手の顔にレーザーポイントが合わされていた」として韓国ファンの仕業のように巧妙に報道した。産経インターネット版ではこの記事がトップ記事だった。

日本のある有力紙記者は「韓国という『素材』がなかったら、おそらく産経は新聞を作ることができずに廃刊していただろう」という冗談で、産経の「反韓報道」を遠回しに皮肉った。

4月から始まった産経の企画記事「歴史戦」というタイトルも隣国を戦争の対象とする発想が感じられる。日本を太平洋戦争に駆り立てた主犯の一つも、国家主義的で対外膨張主義的な扇動を行った“言論”だった。

産経が極右の先鋒として、安倍政権の“提灯持ち”を自負しようがしまいがそれは産経の自由だ。しかしいくら産経が逆立ちしたまま歴史をひっくり返して解釈しようとしても変わらない真実がある。日本は加害者で韓国は被害者だったという不変の史実だ。今でもそれを知って記事を書くならば「産経記事も引用するべきことはしろ」という話を後輩に聞かせようと思う。大きな期待はしないが。

金玄基(キム・ヒョンギ)東京総局長



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