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【時論】相次ぐ高齢者の放火…福祉網の強化が必要=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
いったん雨が降れば激しく降り注ぐという言葉のように、セウォル号の衝撃が続く中、韓国社会の所々で大切な人命を奪い取る安全事故が繰り返されている。全羅南道長城(チョンラナムド・チャンソン)では深夜に療養病院の火災で21人が死亡し、ソウル地下鉄の列車内で防火事件が発生した。

今回の事件がさらに衝撃的なのは、この2つの事件がいずれも70歳を超えた高齢者が容疑者として挙がっているということだ。論語の一節。「従心所慾不踰矩」は、思うままに振舞っても世の中の道理からは外れないという意だ。70歳を超えたらある程度の境地に達することができずとも少なくとも衝動的な行動はしないと見なされるが、今回の事件はこのような通念を打ち破った。その上、療養病院事件では社会的弱者であり保護対象である認知症の患者が放火の容疑者とされている。

放火犯の精神病理研究を見ると、一般的に防火は高齢者よりも若い年代に多い。しばしば伴う精神疾患は、性格障害・物質依存・衝動障害(気持ちがとても良くなったり悪くなったりする精神障害)などだ。今回の事件のように高齢者、特に認知症の高齢者が放火容疑者に上がっていることは精神医学的な観点でも異例的である。


放火は精神病理で最も核心的な要因として知られている怒りから糸口を見つけることはできる。特に放火行為を誘発する怒りは非常に破壊的であり、その基底には慢性的な欲求の挫折、そうした状況が今後も良くならないという絶望感が占めている。ここに社会的弱者としての被害意識と低い自尊感、そして自分の主張を効果的に広げる方法の不足または衝動調節能力の不足などが一緒になれば慢性的な挫折感をさらに悪化させ、これが怒りをより一層増幅させて放火行為に及ぶということだ。

ソウル地下鉄放火事件の容疑者は、建物主との訴訟で10年近く争った末の判決内容に不満を抱いていた。これによって欲求の挫折と慢性的な絶望感による怒りの爆発が放火にあらわれた。長城療養病院の放火容疑者のケースも、入院に対する不満を持っていたという報道が出ている。

高齢者たちさえも放火という極端なやり方で怒りを示す社会は、正常ではない。事件の再発を防ぐためには個人の精神病理レベルでの対策と、社会的レベルでの対策が必要だ。何よりも精神疾患に対する偏見の解消と認識改善を通した治療率を高めることが重要だ。2011年の全国精神疾患実態調査によれば、韓国の精神疾患治療率は15%に過ぎない。85%の患者が自身に精神健康の問題があるのか分からない、あるいは社会的偏見を恐れて治療を受けられずにいるということだ。特に老年層の認識不足と偏見が激しく、これを打開する認識改善の対策が必要だ。



【時論】相次ぐ高齢者の放火…福祉網の強化が必要=韓国(2)

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