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<韓国旅客船沈没>「潜水30分超えるなというが」…約500人の命をかけた捜索

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
水の外は真昼。だが沈没したセウォル号の中では、わずか10センチ先も見通せなかった。22日午後、その中を泳ぎ回った韓国海洋警察庁の特殊救助団潜水要員のペク・デリュク警長(36)の頭に何かがぶつかった。痛みが出てきたが作業を継続して浮上してきた。潜水服を脱いでいるとそばにいた要員が言った。「あ、血が…」。潜水服を着ていたのに額が裂けて医療支援船で8針を縫った。

セウォル号の救助・捜索作業には海洋警察と海軍特殊部隊(UDT)所属のダイバー500人余りが投入された。海洋警察によればセウォル号まで到達して入ることができるロープが6カ所で、同時に入って活動できる人材は12人だけだ。これら12人は酸素がなくなるまで30分程度水中で活動し、次の組と交代する。一度潜水したら艦艇で24時間休むのが原則だ。そうしなければ高い水圧に耐えた身体が回復しない。だが今は原則が守られていない。ペク警長からしてそうだった。まっ暗な水中で何か前にあるものを感じたが、酸素が足りなくなり水上に浮上してきて酸素ボンベを交換し、再び入ったことがある。彼は24日、中央日報との電話インタビューで「不明者家族の気持ちを考えると交代できなかった」と話した。

海洋警察の救助・捜索現場を総括するパク・グァンホ警監(48)は「水中に入る前に『絶対に30分を超えるな』と2回3回繰り返し言っても30分を超える要員がいる」と話した。


「子供の遺体を見つけ、空気が少し不足しそうだが、どうしてそのまま出てこられるか」と言う。ひと通り回って出てくる直前に遺体を発見して引き揚げてきた要員だった。こうなると目まいを感じて体の一部がまひさえする潜水病にかかる要員も出てくる。パク警監は「海洋警察だけでこれまで10人余りが潜水病を治療するため海軍の減圧チャンバーの世話になった」と伝えた。UDT要員の1人は肺に深刻な異常が生じて24日、慶尚南道鎮海市(キョンサンナムド・チンヘシ)の海軍海洋医療院に運ばれた。

ペク警長は「目まいのするような瞬間があった」と話した。18日午後11時10分、キム・チョルホ巡査(34)とペアになって海に飛び込んだ時だった。セウォル号につながるロープをつかんで水中に入ろうとすると水面が揺れ動いた。

超大型風船(リフティングバック)とセウォル号をつないだ太いロープが切れて、リフティングバックが水面上に跳ね上がったのだった。ペク警長は「まっ暗な夜なのでロープを放せば他の要員が私たちを発見するのも難しい状況だった」として「もしかしたら、これで終わりかもしれないという気がした」と振り返った。

水中作業は容易ではない。24日の潮流速度は時速1.2キロ程度。このような水の中は地上では時速約30キロの風が吹く状況と似ている。その上24日までは水の流れが弱かった時だ。25日からは時速4キロ以上と速くなる。台風がまき起こるのと似た環境だ。パク・グァンホ警監は「24日の救助・捜索を最大限急ぐ理由」と説明した。海洋警察と海軍はこの日、酸素ボンベではなく船にホースを通じて潜水要員に空気を吹き込む方式の作業も併行した。ホースが絡まると危険だが、この方法なら1時間まで水中で持ちこたえられるからだ。

遺体を引き揚げた潜水要員の相当数は精神的苦痛を訴えている。夢に遺体が現れて眠りからさめ、昼間も遺体が目の前にちらつくという。ペク警長は「まっ暗な水の中で遺体に接するたびに恐怖が押し寄せる」として「怖さを振り切るために内心で『私の家族だ。私の手で引き揚げなければならない』と繰り返し言う」と話した。



【特集】韓国旅客船「セウォル」沈没事故

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