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深刻化する韓日葛藤、「韓・日・米・中」の算段は…(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

(左から時計回りに)趙世暎(チョ・セヨン)、木村幹、キム・ハングォン、キム・ソンハン。

日本の文部省は今月4日、独島(ドクト、日本名・竹島)を日本の領土だと記述した小学校の社会の教科書4種を全て合格処理した。オランダのハーグで韓日米首脳会談がやっと実現してから9日後だ。この1年間、悪化の一途をたどってきた韓日関係は今後も改善の糸口を見つけにくくなった。さらに大きな問題は、大きくなっていく韓日葛藤が、米中と日中の覇権争いで荒波に包まれた北東アジアの構図において韓国に再び悪材料として作用する可能性だ。両国の葛藤をめぐって韓国と日本、米国と中国が行うゲームの算段と展望を専門家たちに聞いてみた。外交部次官をつとめた韓米関係専門家のキム・ソンハン高麗(コリョ)大学教授と、日本通で外交部北東アジア局長を歴任したチョ・セヨン東西(トンソ)大学特任教授、日本外交を研究してきた木村幹・神戸大学教授、中国政治が専攻のキム・ハングォン峨山(アサン)政策研究院中国センター研究長だ。

韓国…韓日首脳会談の可能性さらに遠ざる(チョ・セヨン東西大特任教授)=今回の事件で韓国が意表をつかれたという指摘が出ている。先月26日ハーグで韓日米首脳会談が開かれる直前に日本が「河野談話の継承」を再確認したため、日本が領土問題ではこれ以上問題を起こさないだろうと思っていたところ逆襲にあったというものだ。しかし韓国は意表をつかれたのではない。日本の安倍晋三首相の政治哲学の基本的枠組みは「中国威嚇論」だ。したがって彼は韓国と良い関係を結んで味方を作るほうが有利だ。しかし独島問題は別だ。安倍首相には「愛国心の鼓吹」という別の政治哲学があるためだ。私たちには矛盾しているように見えるが、日本では矛盾したものではない。また今回の教科書問題は、保守右派である安倍政権が長年布石を置いて推進してきた愛国主義路線の延長線上にある。安倍統治の核心は「戦後体制の脱皮」だ。安倍首相は2006年から1年間、第一次執権時からすでに「教科書改革」をキャッチフレーズに掲げていた。当時、教育基本法を制定して毎年、学習指導要領と解説書・教科書が変わるようにした。今回の措置はその延長線上であり十分に予想されたことである。韓国が意表をつかれたとはいえない理由だ。

「教科書改革」の核心は、日本国家に対する自負心を鼓吹させることだ。これに伴い独島についての記述は2006年には「韓国と問題がある、それぞれ違う主張をしている」程度のみだったが、今回は「韓国が不法占拠している」というふうに程度が悪化した。独島だけでなく慰安婦や徴用者についての記述も過去には「良くないことがあった」だけだった。だが今度は「徴用者問題は請求権協定ですべて解決した」「慰安婦問題は法的に解決されており、アジア基金も支給したが韓国が追加要求をしている」と記述した。問題を回避せず自分たちの立場を積極的に述べた点に深刻性がある。こうした日本の右傾化と冷戦構造の解体、中国と日本の覇権争いなどで今は過去のように韓国と日本が全面的な協力関係を維持することは難しくなった。したがって韓日首脳会談を開く問題は今後、息の長いスパンで判断しなければならない。


しかし韓国が韓国日米首脳会談をしたのは不適切ではなかった。過去の歴史とそのほかの懸案は分離して扱わなければならないからだ。韓国は日本との2国間関係もあるが、韓日米、韓日中関係もある。過去の歴史・独島問題とともに北朝鮮の核開発や日中の角逐戦、国際経済協力もある。韓日米会談はこのように次元が違う懸案を扱うために必要だった。日本から無条件に背を向けてはいけない。2国間で硬軟を併行する、制限的協力関係に向かわなければならない。

日本…長期戦略の一環、撤回の可能性なく(木村幹・神戸大教授)=領土問題(独島)に関する日本の立場は全く変わっていない。ただし今までは積極的に子供たちに教育したり海外に広報してこなかったのが本格的に乗り出しただけだ。

特に国民皆が独島問題を知っていて団結している韓国に比べ、日本国民の間では「竹島」について理解がまともに広まっていないというのが日本政府の考えだ。教科書の記述強化はそのような問題を認識した日本政府が長期的な教育と対外広報戦略の次元で取った措置と見れば良い。領土問題は、慰安婦問題と比べると日本内部で意見が相対的に一致しており、それなりに支持も受けている。したがって日本政府が今回の記述を変える可能性は考えられないことだ。また日本政府が韓国と過去の歴史や他の問題を議論する際に領土問題を譲歩対象とする可能性も考えられない。日本は今後、国内外に広報活動を一層強化して「竹島」問題の国際司法裁判所(ICJ)提訴をしつこく推進する一方、尖閣諸島については中国との衝突を防止する枠組みを作るのに尽力するだろう。

これと共に国際社会が北東アジアの領土紛争をどのように見ているのかも重要だ。韓国と中国、日本という世界的に大きな影響力を持った国々が、極めて小さな領土をめぐって戦争のリスクまで辞さずに感情的に争う愚かなケースと見なされるだろう。特に同じ米国の同盟国である韓国と日本が独島をめぐって対立するのは独島が持つ戦略的・経済的価値の微小さと共に「愚かな対立」の典型的事例と思われている。したがって米国をはじめとする国際社会は、北東アジアの多様な領土紛争から距離をおいて巻き込まれないようにするだろう。

韓国は独島に対する日本の侵略の可能性を憂慮するが、国際社会が日本にそのような憂慮を抱く可能性はきわめて低い。日本の軍事費は周辺国と比較すると非常に低い水準の上に、日米同盟に安保を依存してきた日本が軍事的に単独行動をする可能性はほとんどないためだ。それでも韓国が日本の軍事威嚇の可能性を強く提起するならば、国際社会で正当性を失うだろう。むしろ韓国が(日本の軍事の行動を防いできた)米国を信頼していないとの認識が国際社会に広がる可能性が大きい。

(中央SUNDAY第369号)



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