朴槿恵（パク・クネ）大統領が２８日、独ドレスデン工科大で演説し、平和統一構想を明らかにした。南北間の段階的・包括的交流・協力案を明らかにし、これを協議する南北交流協力事務所の設置を北朝鮮に提案した。ドイツ統一を象徴するドレスデン市で統一大チャンス論を具体化したのだ。ドレスデンは第２次世界大戦当時に灰となった旧東ドイツの都市だが、統一後はドイツはもちろん、欧州の文化・教育・経済中心地に変貌した。

朴大統領は４つの障壁を取り崩す統一のビジョンを提示した。南北間の軍事的対決、不信、社会・文化の障壁、そして国際社会と北朝鮮の断絶と孤立の障壁を取り除くというものだ。また、単に一つの領土、一つの体制を作れば統一が実現するのではないと述べた。統一大チャンス論が北朝鮮吸収統一論を念頭に置いているという北朝鮮の警戒心を考慮したとみられる。交流と協力を通じた実質的な南北統合が重要だという意味とも解釈される。

朴大統領はこれを基礎に南北間交流・協力の３つ分野を提示した。一つ目は人道的問題の解決で、北朝鮮に離散家族再会の定例化と妊婦・乳児支援事業を提案した。二つ目は南北共栄のためのアジェンダだ。北朝鮮地域での南北複合農村団地造成を提案した。朴大統領は南北間の信頼形成を前提に大規模な経済協力が可能だと明らかにした。そして韓国の北朝鮮交通・通信インフラ投資と北朝鮮の地下資源開発を例にあげた。三つ目は南北間の同質性回復のための作業で、歴史・文化芸術・スポーツ交流を強調した。


朴大統領は今回、北朝鮮の韓国哨戒艦「天安」爆沈による対北朝鮮制裁である５．２４措置の解除には言及しなかった。北朝鮮が最近、弾道ミサイルを発射し、非核化作業に誠意を見せていないためと考えられる。交流・協力の３つの各分野で、国連や世界銀行など国際機構の支援と協力を強調した点が注目される。国際社会とともに南北間の協力事業が進行されれば持続性を担保できる。今後、３つの分野の協力が始まれば、インフラ投資や追加工業団地の建設など大規模な経済協力事業も可能とみられる。

もうボールは北朝鮮に渡った。最初の関門は南北交流協力事務所の設置だ。北朝鮮は状況を悪化させる行動や対南誹謗を中止し、これに呼応して南北交流・協力の新しい道を開かなければならない。南北間の信頼が一つひとつ積み重なっていく時、南北経済共同体の扉が開かれる。