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「統一部なのか反統一部なのか」…危機の韓国統一部長官

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
就任1周年(3月11日)を迎えた「柳吉在(リュ・ギルジェ)号」の統一部が揺れている。対北朝鮮主要部署としての地位墜落は加速化し、職員の士気は底をついたという憂慮が内外から出ている。朴槿恵(パク・クネ)大統領は韓半島信頼プロセスに始動をかけ、「統一大チャンス」を強調しているところだが、肝心の統一部は推進動力を失いつつあるという指摘だ。

まず、対北朝鮮交渉の中心から押し出されたことだ。先月、南北高位級会談の際、統一部は会談のテーブルを大統領府(国家安保室)に明け渡した。南北会談本部という別途組織を置いて戦略を立てて会談を導いた統一部としては衝撃だ。匿名希望の元統一部当局者は「北朝鮮が統一部でない大統領府と対話をしようという理由も権威があり実権のある側とやろうという意味」とし、「以前は統一部だったが、最近は大統領府になった」と話した。

朴槿恵大統領が統一準備委員会という組織を大統領直属で作るとするや統一部の危機感は大きくなっている。南北会談と統一政策樹立、対北朝鮮支援など統一部本来の任務と役割から排除されるのではないかという憂慮が出てくる。一部では李明博(イ・ミョンバク)政権スタートの時、統一部廃止論が起こったことよりさらに危機だという指摘が出ている。ある幹部職員は「生きていても生きているようでない状態になることが、さらに大変なだろうという話が出回っている」と耳打ちした。


このような危機状況を統一部が自ら招いたという評価が少なくない。対北朝鮮政策をおいて大統領府と足並みがそろわずうろたえるなど、信頼を失ったためという分析だ。就任一カ月で柳長官が大統領府と正反対のメッセージを出したのが失敗の出発点だ。昨年4月11日、柳長官は内外信会見をしながら「北朝鮮当局は対話の場に出て来い」と言った。「北朝鮮に対する対話提案か」という記者の質問に柳長官は「そうではない」と否認した。しかしこの日の夜、朴大統領はセヌリ党議員を呼んで「北朝鮮とは対話するように」と言い、対話提案の意思を確認した。政権の序盤、大統領府と足並みがそろわず混線をきたしたことに伴った後遺症は長引いた。

外交安保部署の間で統一部が主導的な声を出すことができないことも問題と指摘されている。外交統一委所属のセヌリ党キム・ヨンウ議員は「韓半島信頼プロセスという政策は作っておいたものの、信頼を具体的にどのように作っていくのか細部事案は見られない。また、統一大チャンス論が出てからも、統一部は特にアイディアが無いように見える」と話した。統一部政策補佐官出身である民主党ホン・イクピョ議員も「統一部が対北朝鮮政策を主導的にやるよりは、他で完成させた後で引き受けるような形で仕事をしている」と言い、「他の部署や政界、世論の顔色ばかりうかがうことに慣れているから、内部職員の士気まで低下した」と指摘した。対北朝鮮支援や社会・文化交流を推進する民間団体は事業推進過程でしばしば「統一部の壁」にぶつかると訴える。申請を自主的に撤回するように圧迫したり「できもしない事業だから不可」とひじ鉄砲を食わせる場合が少なくないということだ。丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官は「特に対北朝鮮問題の場合、統一長官がどれくらい所信を持って臨むかが重要だ」と話した。

当初、政府は離散家族対面を南北関係回復の初めのボタンだと公言した。統一部も直間接的に民間団体に2月下旬の対面行事直後、対北朝鮮接触と支援を準備しろとの信号を出した。しかし、統一部は開城(ケソン)などでの民間接触を許可しないなど、態度を変えて信頼を失っている。今月に入り、さらに手綱を引き締めている状況だという。匿名希望の対北朝鮮支援団体関係者は「統一部なのか反統一部かわからないという不満の声が出ている」と伝えた。

学者出身である柳長官のリーダーシップ問題も非難の的となっている。会談代表を引き受けた統一部幹部が釈然としない理由で電撃交替させられる状況で、長官として無気力な姿を見せたのは部下職員から無視される状況を招いた。昨年8月、開城工業団地正常化当局会談首席代表として出た徐虎(ソ・ホ)局長が突然落馬したし、先月には千海成(チョン・ヘソン)室長が大統領府秘書官に内定して撤回される事態が起こったが、柳長官は沈黙した。国会の「統一を開く議員会」代表であるセヌリ党ウォン・ユチョル議員は「現在の構図上、統一部長官の声が十分に反映され得るのかと考え、力を出せないのではないのかという遺憾もある」とし、「統一部がもう少し自信を持って南北関係改善と統一政策に対して大統領府に建議し、独自のビジョンも持ったら良いと思う」と話した。



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