「アン・ヒョンス選手とどんな話をしましたか？」「ちょっと会ってあいさつだけしました」。６日にソチで会ったショートトラック韓国代表チーム選手らは取材陣の質問に短く答えた。韓国チームのトレーニング後にロシアチームのトレーニングが続いたため、取材陣は彼らとアン・ヒョンス（ロシア名：ビクトル・アン）が会った場面が気になった。しかし韓国代表チーム選手らはアン・ヒョンスと話をするのが気まずそうだった。

男子ショートトラックに関する限り、国民の声援と取材陣の関心はロシア代表チームのアン・ヒョンスがほとんど独占している。１０日にある男性月刊誌が行ったアンケート（標本２５０人）によると、韓国の選手ではないアン・ヒョンスを応援するという回答は６９％（１８２人）だった。

アン・ヒョンスが１０日にショートトラック男子１５００メートル決勝で銅メダルを獲得すると、ネット上は再び揺れ動いた。「ロシアの国旗を振るのを見たくない」という否定的な意見が一部にあったが、大部分は依然としてアン・ヒョンスを応援し、「残りの競技で必ず金メダルを取ってほしい」と励ました。太極マークを付けて２００６年のトリノ五輪で３冠王になった時より、韓国国籍を放棄した現在の人気の方が高い。「アン・ヒョンス現象」をどのように見るべきだろうか。


スポーツ社会学者である東亜大学のチョン・ヒジュン教授は、「私もアン・ヒョンスを応援する。大韓スケート連盟はこれまで暴行と派閥争い、セクハラ事件で汚れた。ファンがこうした内幕を知っているのでアン・ヒョンスを応援するのだ。その上国民はいまでは金メダルをひとつ取ることよりも韓国の人材が世界的英雄になる姿の方を好む」と話した。延世（ヨンセ）大学社会学科のリュ・ソクチュン教授は。「韓国ではアン・ヒョンスが被害者だと感じるためロシアで活躍することに熱狂する。しかし韓国代表チーム選手と対決する競技でアン・ヒョンスを応援するのはおかしい。理解しがたい現象だ」と話した。

アン・ヒョンスは２００８年にひざを負傷してから下り坂を歩き、２０１０年のバンクーバー五輪では代表チームに選ばれなかった。負傷からの回復時間が必要なアン・ヒョンスには選抜戦方式と時期が不利だったのは事実だ。連盟の核心人物Ａ氏との不和のためというのがアン・ヒョンス側の主張だ。２０１０年１２月に所属チームの城南（ソンナム）市庁が解散されると、職を失ったアン・ヒョンスはロシア国籍取得を選択した。ロシア政府はアン・ヒョンスに引退後の代表チームコーチ就任と大学教授の職を保障した。



＜ソチ五輪＞銅メダル獲得のビクトル・アンに熱狂する理由（２）

【特集】ソチ冬季オリンピック２０１４