「中国中心の世界史が登場する」「世界の首都がニューヨークから北京に遷都する」「朝貢制度が復活する」…。英国の知識人マーティン・ジャックス氏(69)が描いた、中国が世界の覇権を握った時のいくつかの変化像だ。2010年に出した『中国が世界を統治する時』でだ。西欧は中国が浮上しても世界は変わらないと信じる傾向がある。近代化に成功した中国が結局、西欧式の国になると考えるためだ。しかしジャックス氏の考えは違う。ジャックス氏は中国の崛起が世界秩序に地殻変動をもたらすと言う。過去に他の強大国がそうだったように、中国もまた超強大国になれば、自らの歴史的プリズムを通じて世界を眺め、また自らが望む方向に世界を再構成するため、という理由でだ。ジャックス氏の予言が習近平時代に入り、ますます現実に近づく感じだ。先月、上海の最高名門・復旦大では、意味深長なある研究所の開所式が開かれた。「中国発展モデル研究中心」がそれだ。3つの点が目を引く。
まず名前だ。今まで「中国模式」を名称に掲げた研究所は世界のどこにもなかった。特に中国では望みの名称を自由に使えるわけではない。代表的なのが「人民」の2文字だ。人民日報や人民出版社はともに中国当局の特別な許可があったために可能な名前だ。普通の人は商号に「人民」の2文字を使えない。「中国モデル」という名前を看板に刻んだというのは、背後に中国当局があるということを示唆する。2つ目は研究所の責任者だ。初代主任は上海社会科学院中国学研究所所長の張維為氏だ。1980年代にトウ小平の英語の通訳をし、2011年には中国モデルを論じた『中国の波:ある文明国家の崛起』で中国の各種図書賞を受賞した。この本は習近平が同年に中国を訪問した当時のロバート・ゼーリック世界銀行総裁に一読を勧めたほど話題となった。
最も重要なのは研究所の性格だ。開所式に出席した復旦大党書記の朱之文氏の言葉にそれが見える。「中国発展の経験を独創的に解釈し、世界が理解できる言葉で伝えるべき」というものだ。「中国モデル」を積極的に輸出しようという宣言にほかならない。世界2位の経済体に浮上した中国が約200年ぶりの1位奪還を控え、今は自信を持ち、その間中国が歩んできた成功の道を世界に紹介する時になったという主張だ。今年から英オックスフォード大と「中国モデル」をテーマに国際セミナーを開催するのをはじめ、叢書出版、学者交流などさまざまな計画が決まっている。
【コラム】中国の時計は速く進む(2)
まず名前だ。今まで「中国模式」を名称に掲げた研究所は世界のどこにもなかった。特に中国では望みの名称を自由に使えるわけではない。代表的なのが「人民」の2文字だ。人民日報や人民出版社はともに中国当局の特別な許可があったために可能な名前だ。普通の人は商号に「人民」の2文字を使えない。「中国モデル」という名前を看板に刻んだというのは、背後に中国当局があるということを示唆する。2つ目は研究所の責任者だ。初代主任は上海社会科学院中国学研究所所長の張維為氏だ。1980年代にトウ小平の英語の通訳をし、2011年には中国モデルを論じた『中国の波:ある文明国家の崛起』で中国の各種図書賞を受賞した。この本は習近平が同年に中国を訪問した当時のロバート・ゼーリック世界銀行総裁に一読を勧めたほど話題となった。
最も重要なのは研究所の性格だ。開所式に出席した復旦大党書記の朱之文氏の言葉にそれが見える。「中国発展の経験を独創的に解釈し、世界が理解できる言葉で伝えるべき」というものだ。「中国モデル」を積極的に輸出しようという宣言にほかならない。世界2位の経済体に浮上した中国が約200年ぶりの1位奪還を控え、今は自信を持ち、その間中国が歩んできた成功の道を世界に紹介する時になったという主張だ。今年から英オックスフォード大と「中国モデル」をテーマに国際セミナーを開催するのをはじめ、叢書出版、学者交流などさまざまな計画が決まっている。
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