北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制の第2人者だった張成沢(チャン・ソンテク)粛清事件後、専門家は半月にわたり事件の本質と展望についてさまざまな見方を示している。相反する主張が乱舞し、事態の理解を助けるどころか、混乱をもたらしている。とはいえ、金正恩体制の将来を予想するには、張成沢粛清の背景を正しく理解する必要がある。特に「金正恩が張成沢を除去した理由」が、権力不安のためか、それとも権力に対する自信のためかをまず把握しなければならない。
こうした疑問を解くには、効率的かつ正確な分析の枠が必要だ。これまで最も一般的な方法といえば、ソ連の社会主義体制のプリズムで分析するというものだった。北朝鮮に共産政権が誕生した時、北朝鮮指導部はソ連式国家モデルに追従しようとした。当時、共産主義国家では参考にできる唯一の国家モデルだったからだ。「北朝鮮は政権初期、ソビエト社会主義モデルを模倣するために非常に努力した」とキャサリン・ウェザーズビー・ジョンズホプキンス大国際関係大学院(SAIS)教授は説明する。
スターリンが行った粛清の歴史を分析すると、金正恩の張成沢除去を理解するのに役立つ。実際、ソ連と北朝鮮の間には、指導者の偶像化、計画経済、一党独裁、思想統制、政敵粛清など多くの共通点がある。スタンフォード大のダニエル・スナイダー・アジア太平洋研究所副所長は「北朝鮮はソ連から出た派生物(derivative)」と主張する。また「北朝鮮を理解するには、その体制と共通点が多いソ連・中国など社会主義国家に関する本を読む必要がある」と勧めた。
◆スターリンモデルから見た張成沢粛清
多くの専門家の目には、張成沢処刑はスターリン時代のソ連で政敵を除去する方式と似ていると映っている。国内メディアは「張成沢除去による北の内部不安」を深く懸念している。しかし専門家の意見は違う。ウェザーズビー教授は次のように主張する。「ソ連の前例で見ると、この事件が北朝鮮政権の崩壊につながると信じる理由はない。むしろ粛清は体制の維持に非常に効果的だ。中・短期的に潜在的な抵抗勢力が弱まるしかないからだ」。
東ドイツ出身で北朝鮮留学をしたオーストリア・ウィーン大学のルーディガー・フランク教授(東アジア学科)は、北朝鮮研究のためにソ連モデルが役立つという点に同意する。独裁者がどのように国家を運営し、政敵を除去したのかは、ソ連の歴史によく表れているということだ。張成沢処刑に対する北朝鮮住民の反応も、大物粛清当時にソ連人が見せたものと似ているはずというのが、フランク教授の分析だ。しかしフランク教授は、北朝鮮に内在した不確実性を分析するうえでソ連のモデルは限界があるという点を認めた。「東ドイツ滅亡2週間前に挙行されたこの国の軍事パレード場面をユーチューブで見たことがある。すべてのことが正常だったため、わずか2週後に東ドイツが消えるということは信じられなかった」。すなわち、金正恩政権も外側から観察されていない不安要素が処刑の過程に内包された可能性があるということだ。
多くの専門家はソ連モデルの有用性については同意するが、それだけで北朝鮮を細かく把握するのには限界があるという意見が多い。最も大きな理由は、ソ連モデルに追従した故金日成(キム・イルソン)主席が1960年代、唯一統治強化レベルで「主体思想」を導入し、独自の路線を標ぼうしたからだ。方向は同じかもしれないが、一種の“車線変更”をしたのだ。さらに北朝鮮は2009年、「共産主義」という言葉を憲法から削除し、中国内の韓半島(朝鮮半島)専門家までも驚かせた。
したがって北朝鮮を正しく理解するには、別のプリズムが必要になるしかない。脱北知識人連帯(NKIS)のヒョン・インエ副代表は「ソ連モデルに適用される全体主義理論は欧州の状況を反映して作られた。今回の張成沢粛清のように親戚関係が複雑に絡んだ北の権力地図を読み取るには限界がある」と主張した。金日成(キム・イルソン)総合大学を卒業したヒョン副代表は、ソ連式全体主義という一つの理論の枠だけで見るべきではないと話す。その代案として封建主義モデルを提示している。「封建主義の見解で分析すれば、今回の事態を最も簡単に理解することができる」という主張だ。ヒョン副代表は「封建主義時代にも気に入らなければ、首をはね、毒をのませた。封建王朝が謀逆罪として政敵を除去するように、張成沢にいくつかの罪目が被せられたにすぎない」と説明した。
(中央SUNDAY第354号)
「金正恩は一人独裁を強化、対外に門戸閉ざす」…専門家の見解(2)
こうした疑問を解くには、効率的かつ正確な分析の枠が必要だ。これまで最も一般的な方法といえば、ソ連の社会主義体制のプリズムで分析するというものだった。北朝鮮に共産政権が誕生した時、北朝鮮指導部はソ連式国家モデルに追従しようとした。当時、共産主義国家では参考にできる唯一の国家モデルだったからだ。「北朝鮮は政権初期、ソビエト社会主義モデルを模倣するために非常に努力した」とキャサリン・ウェザーズビー・ジョンズホプキンス大国際関係大学院(SAIS)教授は説明する。
スターリンが行った粛清の歴史を分析すると、金正恩の張成沢除去を理解するのに役立つ。実際、ソ連と北朝鮮の間には、指導者の偶像化、計画経済、一党独裁、思想統制、政敵粛清など多くの共通点がある。スタンフォード大のダニエル・スナイダー・アジア太平洋研究所副所長は「北朝鮮はソ連から出た派生物(derivative)」と主張する。また「北朝鮮を理解するには、その体制と共通点が多いソ連・中国など社会主義国家に関する本を読む必要がある」と勧めた。
◆スターリンモデルから見た張成沢粛清
多くの専門家の目には、張成沢処刑はスターリン時代のソ連で政敵を除去する方式と似ていると映っている。国内メディアは「張成沢除去による北の内部不安」を深く懸念している。しかし専門家の意見は違う。ウェザーズビー教授は次のように主張する。「ソ連の前例で見ると、この事件が北朝鮮政権の崩壊につながると信じる理由はない。むしろ粛清は体制の維持に非常に効果的だ。中・短期的に潜在的な抵抗勢力が弱まるしかないからだ」。
東ドイツ出身で北朝鮮留学をしたオーストリア・ウィーン大学のルーディガー・フランク教授(東アジア学科)は、北朝鮮研究のためにソ連モデルが役立つという点に同意する。独裁者がどのように国家を運営し、政敵を除去したのかは、ソ連の歴史によく表れているということだ。張成沢処刑に対する北朝鮮住民の反応も、大物粛清当時にソ連人が見せたものと似ているはずというのが、フランク教授の分析だ。しかしフランク教授は、北朝鮮に内在した不確実性を分析するうえでソ連のモデルは限界があるという点を認めた。「東ドイツ滅亡2週間前に挙行されたこの国の軍事パレード場面をユーチューブで見たことがある。すべてのことが正常だったため、わずか2週後に東ドイツが消えるということは信じられなかった」。すなわち、金正恩政権も外側から観察されていない不安要素が処刑の過程に内包された可能性があるということだ。
多くの専門家はソ連モデルの有用性については同意するが、それだけで北朝鮮を細かく把握するのには限界があるという意見が多い。最も大きな理由は、ソ連モデルに追従した故金日成(キム・イルソン)主席が1960年代、唯一統治強化レベルで「主体思想」を導入し、独自の路線を標ぼうしたからだ。方向は同じかもしれないが、一種の“車線変更”をしたのだ。さらに北朝鮮は2009年、「共産主義」という言葉を憲法から削除し、中国内の韓半島(朝鮮半島)専門家までも驚かせた。
したがって北朝鮮を正しく理解するには、別のプリズムが必要になるしかない。脱北知識人連帯(NKIS)のヒョン・インエ副代表は「ソ連モデルに適用される全体主義理論は欧州の状況を反映して作られた。今回の張成沢粛清のように親戚関係が複雑に絡んだ北の権力地図を読み取るには限界がある」と主張した。金日成(キム・イルソン)総合大学を卒業したヒョン副代表は、ソ連式全体主義という一つの理論の枠だけで見るべきではないと話す。その代案として封建主義モデルを提示している。「封建主義の見解で分析すれば、今回の事態を最も簡単に理解することができる」という主張だ。ヒョン副代表は「封建主義時代にも気に入らなければ、首をはね、毒をのませた。封建王朝が謀逆罪として政敵を除去するように、張成沢にいくつかの罪目が被せられたにすぎない」と説明した。
(中央SUNDAY第354号)
「金正恩は一人独裁を強化、対外に門戸閉ざす」…専門家の見解(2)
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