キム・ヨナ(左)と浅田真央。
◆2人そろって成果おさめた大会=3月の世界選手権で優勝したキム・ヨナは、足の甲の痛みで今年ISUが主催するグランプリ大会に参加しなかった。したがってザグレブ大会はキム・ヨナにとってソチオリンピックで行うプログラムを披露する特別な舞台であった。結果はやはり「フィギュアクイーン」らしいものだった。ショートプログラムでは今年のシーズン女子シングルから出た最高点を更新した。フリープログラム『アディオス・ノニーノ(Adios Nonino)』は激情的な印象を4分10秒でこなす高難度なものだった。彼女は3回転連続ジャンプの初めてのジャンプであるトリプルルッツで着地の瞬間に転倒する失敗をした。大きく崩れたが彼女は落ち着いて立ち直った。むしろトリプルルッツの単独ジャンプにダブルトーループを入れる連結ジャンプで減点を最小化し臨機応変に対応した。「クイーン」らしい強いメンタルが導いた結果であった。
キム・ヨナが抜けたままの今シーズンの女子フィギュアで浅田は断然引き立っていた。1次と4次グランプリで相次いで200点を超えて1位になり、ホームで開かれたグランプリファイナルでも優勝した。2010年バンクーバーオリンピック以後、キム・ヨナよりも1ランク下に評価されていた浅田としては自信を回復する機会となった。
◆プログラムの差=キム・ヨナの長所は表現力だ。指先の微妙な動きと豊かな表情でファンたちを一気に引き込む。パン・サンアSBSフィギュア解説委員は「浅田がジャンプを引き立つように見えるプログラム構成をしたとすれば、キム・ヨナは作品性を優先した。キム・ヨナがジャンプ・ステップなどをもう少し整えれば(浅田よりも)はるかに優れた成績を出すだろう」と期待した。浅田は芸術性での弱点を技術でばん回しようとしている。トリプルジャンプにこだわる理由だ。
今回のグランプリファイナルで浅田は、主な特技のトリプルアクセル(空中3回転半回転)は一度も成功できなかった。キム・ヨナに勝つために大会直前のフリープログラムでトリプルアクセルをもう1回増やす冒険をしたが全て回転不足で着地が不安定だった。トリプルフリップでも回転数が不足したが成功と認められてホームアドバンテージ論争も起こった。競技後、浅田の表情はそれほど明るくなかった。
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