今大会で最も注目を集めているのは7日に公開されるフリースケーティング・プログラム。キム・ヨナはアルゼンチン出身のタンゴの巨匠アストル・ピアソラの楽曲『アディオス・ノニーノ(Adios Nonino)』をフリースケーティングの音楽に使う。情熱的でテンポの速いタンゴ音楽であるこの曲は、1959年に発表されて以来、フィギュア選手から愛され続けている。2008年世界選手権男子シングルで金メダルを獲得したジェフリー・バトル(カナダ)が当時ショート・プログラムで使用した曲でもある。しかし、4分10秒間続くうえ、ドラマチックな演技構成や体力が要求されるこの『アディオス・ノニーノ』は、女子シングルのフリースケーティングではやや敬遠されてきた。キム・ヨナも「フリースケーティング・プログラムのテンポは速くてかなりの体力が必要だ。完ぺきに滑れるようになるにはもう少し時間がかかるだろう」と話した。
それでもキム・ヨナは最後まで冒険を選んだ。これまで叙情的な曲をフリーの音楽に使用してきたキム・ヨナは、現役最後のフリーで成熟した美しいタンゴの女王に生まれ変わる。キム・ヨナは16歳だった2006~2007シーズンのショート・プログラムの使用曲に『ロクサーヌのタンゴ(El Tango De Roxanne)』を選び、当時ショート最高点(71.95)を獲得した。