海が見えるテラスには１０００万ウォン（約９４万円）のスパ浴槽、内部の壁面は大理石が敷き詰められ、天井は輸入木材が使われている。浴室には防水型テレビが壁に据え付けられている。仁川市甕津郡（インチョンシ・オンジング）の霊興（ヨンフン）火力発電所の職員非常宿舎内部の様子だ。韓国南東発電が、最近になって建てた建物は非常宿舎とは名ばかりで実際には超豪華ペンションだ。宿舎工事に使われた費用は２０億ウォン。南東発電はこのような宿舎を霊興火力発電所の近くに４カ所も作っている。この企業は昨年１６００億ウォンの黒字を出した。負債比率は１００％で財務状況も安定的だ。だが、南東発電持分の１００％を持っている韓国電力は５５兆ウォンの借金を抱えている。母体（親企業）は借金と赤字に苦しめられているのに、子会社はお金が余って豪華施設を作っているという状況だ。

京畿道高陽市大化洞（キョンギド・コヤンシ・テファドン）の韓国施設安全公団。こちらの労使団体協約内容をのぞくと、モラルハザード（倫理観の欠如）の極地だ。職務と関連のない刑事事件で起訴された場合は休職が許される。起業する場合も同じだ。特に起業休職期間は基本の３年に加えてさらに１年を延長することができる。

朴槿恵（パク・クネ）政府がモラルハザードに陥った公企業の大手術に着手した。予算浪費と行き過ぎた福利厚生が手術の焦点だ。玄オ錫（ヒョン・オソク）経済副総理兼企画財政部長官は１４日、ソウル明洞（ミョンドン）の銀行会館で主な公共機関２０カ所の機関長と朝食懇談会を開いた。参席者は、過剰な福利厚生課賃金を支給した上位８機関（施設安全公団・貿易保険公社・健康保険公団・仁川国際空港公社・勤労福祉公団・輸出入銀行・韓国投資公社・大韓住宅保証）と、借金上位１２機関（韓国電力・土地住宅公社・石油公社・ガス公社・石炭公社・鉄道公社・水資源公社・鉄道施設公団・道路工事・鉱物資源工事・韓国奨学財団）の機関長だ。


玄副総理はこの席で「パーティーは終わった」という表現まで使った。それとあわせて「これからは冷静に現実を直視して財政危険管理に総力を注がなければならない時期だ」と付け加えた。玄副総理は「民間企業だったら厳しいリストラの嵐が幾度となく吹き、事業の構造調整が行われていたところだ」とも述べた。「国政監査で厳しく指摘したところで改善されないので、恥辱を感じる」と言った国会議員の言葉も引用した。

企財部は特別の対策を用意する計画だと明らかにした。まず役員の報酬体系を調整する方針だ。また、不合理あるいは過度な公共機関職員の福利厚生水準を一気に引き締めるという。特に、過去５年間で借金の増加を主導した土地住宅公社や韓電など１２機関について、借金の規模や発生原因などを今年末までに詳しく公開するようにした。

ちょうどこの日、国際格付け機関ムーディーズの発表が世間の注目を集めた。ソウル汝矣島（ヨイド）のコンラッドホテルで韓国信用評価と共同開催された「第１１回例年カンファレンス」で、韓国の信用等級を脅かす要因として公企業の借金を挙げたのだ。

ムーディーズのトム・バーン主席副社長は「韓国は財政健全性が優れているため“Ａａ３”等級と“安定的”等級を維持しているが、公企業の借金が変数になるおそれがある」とし、「ここ数年、急速に増えた公企業の借金を偶発債務要素として見ており、これを韓国信用等級評価に反映するかどうか考慮している」と警告した。

梨花（イファ）女子大行政学科のパク・ジョンス教授は「国民の税金で独占的に運営されている公企業がモラル・ハザードを示したことについては、厳格に責任を問わなければならない。また、その間政府が公企業に干渉しすぎた点も反省しなければならない」と述べた。