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韓国の野生動物を肉眼で解剖…日本人初のソウル大終身教授

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

木村教授は「日本の教授社会は保守的なので、自由で国際的な環境で勉強したくてソウル大に志願した」と話した。

先端に立つ革新家というよりは、ゆったりと見えつつ緻密な職人を思い起こさせる。10日、ソウル大湖巌(ホアム)教授会館で会った獣医学科の木村順平教授(55)。彼は先月、日本人で初めてソウル大テニュア(tenure、終身在職権)の審査を通過した。2007年12月に日本人で初めてソウル大の教授に任用されたのに続き、終身教授職まで保証された。

1983年に東京農工大で修士学位を取った彼は、米国ワシントン大学の研究員職になり研究に没頭した。85年、日本大獣医学科助教授として帰国し博士学位を取った。ソウル大にくる前までは日本大教授として日本と東南アジアの野生動物を研究していた。彼は「日本の教授社会が保守的なので、研究テーマの選定が自由で国際的な環境で勉強したかった」として「ちょうどソウル大で教授を選ぶと聞いて志願した」と語った。

彼の専攻は「正統解剖学」。解剖した動物の体の構造を肉眼で観察する学問だ。顕微鏡を使うことも実験をすることもない。研究しやすい分野ではないかと尋ねたところ「方法的には簡単なのは事実だ。ところがそこから結果を得るための分析と研究が難しい」と答えた。タヌキの頭蓋骨だけでも70匹を解剖して30カ所余りの数値を測定して比較分析した。職人並みの根気と鋭い見識が必要な分野だ。


2007年にソウル大で研究を始めた彼は、野生動物の標本を求めて全国の大学・博物館を訪ね回った。だが使えるだけの標本がなかったという。木村教授は「博物館の展示室に置かれた標本は状態が良かった。ところが倉庫は驚くほど貧弱だった」と話した。彼は「米国・欧州の博物館は展示室と同じぐらい倉庫が量的・質的に優秀だ。何に使われるか見当さえつかないものが倉庫に蓄積されている。このような土台があってこそノーベル賞級の研究も出てくることが可能だ」と付け加えた。

「自分で標本を作ってしまおう」と決心した彼は、各地の動物保護センターに連絡した。「ロードキル(roadkill、野生動物の交通死亡事故)」に遭ったり治療中に死んだりした動物の死骸を受けとるためであった。まずタヌキ・キバノロ(Chinese water deer)を研究対象とした。木村教授は「タヌキは日本にもいて日本の研究者と共同研究ができる。キバノロは世界でも韓国・中国にしかいない動物なので意味が大きいと思った」とした。

彼の目標は、韓国の野生動物の形態を1つひとつ分析して一種の「自然博物誌」を完成することだ。「韓国のタヌキは日本のタヌキより下顎が発達した。肉食性が強いという意味で、もし韓国のタヌキが絶滅しても日本のタヌキがこれに代わることはできないということだ。韓国のタヌキがとても貴重だと考えるべきだ」。木村教授のキバノロの研究は、中国で絶滅危機に瀕しているキバノロの復活に大きな助けになりうるという点で学界の注目を浴びた。彼は「今後はスナメリとカワウソも研究する予定」だといった。

韓国内で「正統解剖学」分野の研究者は“絶滅”状態だ。木村教授は韓国と日本のほかの研究の雰囲気を以下のように説明した。「韓国の研究者は特定の目標に合わせて少しずつ発展させる研究を楽しむ。だが、私の研究は特別な目的がなく知的好奇心によって進める分野だ。宇宙分野の研究を例に挙げると、韓国の研究者はロケットを作ろうとするが、私は宇宙の秘密を解き明かしたいのだ」。

彼は現在3つの授業を受け持っている。その中の1つは獣医学を専攻しない一般学生が対象の正統解剖学セミナーの授業。今年の授業では豚足を食べた後、骨を標本にする予定だ。彼は「授業に焼酎を一杯加えることもできる」と冗談を言った。



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