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韓国で「ラップバトル」激化・・・気力の戦いなのか暴露戦なのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

左からケコ、E-Sens

韓国ヒップホップ界の競争を促し「ラップバトル」の火ぶたを切ったラッパーのSwings

この頃、大衆音楽界が騒々しい。Swings・TakeOne・Ugly DuckなどのアンダーグラウンドラッパーからDynamic Duo・Simon D・E-Sensなどの有名ラッパーまでが、相手を批判する曲をリアルタイムSNSでやり取りしている。以前は見られなかった「ラップバトル」だ。ほとんど「ヒップホップ大戦」の様相だ。

発端は約2週間前に米国で始まった。ヒップホップの未来と呼ばれるラッパーのケンドリック・ラマーが『Control』という曲でDrake、Jay Electronica、Big Seanなどの有名ラッパーとの公開バトルを宣言した。実力を一度競ってみせようということだ。

◆米国で開始…韓国ではSwingsが火をつけて


そしてその台風が韓国にも上陸した。ラッパーSwingsが、“ケンドリックの乱”にインスピレーションを受けたと明らかにして21日『King Swings』という曲を公開した。6分30秒を超える曲の要旨は「私が王だ。君たちちょっとしっかりして。ヒップホップらしくまともに競争してみよう」というものだった。ほかのラッパーたちの返歌が多様にあふれ出た。普段から仲間のラッパーたちにためていた不満を解消したり、Swingsに関連した個人的関係を暴露したり、自分が最高だと自負するラッパーもいた。大衆の好みに合う柔らかい音楽に傾いてしまった韓国のヒップホップについて自省を促す人もいた。

そのうちSupreme Teamとして活動していたE-Sensと、Dynamic Duoのメンバー、ケコのラップバトルが議論になってきた。現在もっとも株価が高いヒップホップ企画会社のアメーバカルチャーからこの前契約を解除されたE-Sensと、その会社の中心にいるケコの間の対決という点でだ。「韓国ヒップホップの後輩のために全身捧げるような演技をして詐欺を働くよ(中略)これ聞いたら答えろ、ケコ」(E-Sens『You can’t control me』)。「お前は一生懸命やってるラッパーの子供たちに大麻をやったよな。耐えていた兄を裏切って、カカオトークへと背を向けて」(ケコ、『I Can Control you』)。

23日、E-Sensのケコ批判、24日ケコの反論、そして25日E-Sensの再攻撃などなど乱打戦にオンラインが熱くなった。相手の音楽を引き降ろす「diss戦争」(注)が繰り広げられた。ヒップホップになじみが薄い人には理解されにくい光景だ。実際、ヒップホップはいまだに、特に韓国では数多くの汚名と誤解、偏見を被っている。特に「ラップバトル」は、ヒップホップに対する拒否感を引き起こす主犯だ。

ラップは米国黒人の闘争的歴史と好戦的な口述の伝統から始まった。合意した規則のもと音楽で行う戦いはラップ固有の快感を作り出す。相手に勝つための過程で、さらに立派な表現と技術が出てきたりもする。あたかもリング上の格闘技に似ている。ラッパーの自己顕示と抗弁、そして特有の攻撃的容貌を歴史的・文化的脈絡に対する理解なしに、ただ道徳と倫理で断じるのは無謀なことだ。

それでもケコとE-Sensのラップバトルは憂慮される側面がある。芸術家の自尊心が核心と言えそうな2人のバトルが、音楽性よりも互いに向けた暴露や真実攻防、一部の激しい表現に焦点が合わされているためだ。

◆「正々堂々競争」→人身攻撃に変質

2人の実力は韓国ヒップホップをひっくるめても最高級で、観戦者の立場では面白くて興奮することだろう。だが音楽よりも相手に対する蔑み、そしてヒップホップの本質とは関係ない周辺の推測、そして「音楽を通した戦い」で終わるのでなく「その戦いの終わりを見てもいいし、結果が出てきても関係ない」という態度で事態を推し進める雰囲気は明らかに心配だ。

1990年代中盤、米国で起こったTupacとBiggieのラップバトルは、ヒップホップ史上最も熾烈な事件として残っている。しかしTupacとBiggieのラップバトルが刺激的だったからといって、銃撃戦にまで発展した2人の死までが刺激的なことではない。

キム・ボンヒョン(大衆音楽批評家)

◆ディス(diss)=英語で「尊敬(respect)」の反対語である「嫌悪(disrespect)」の略語。主にほかのグループや人を蔑んだり攻撃するための行動、あるいは歌を称する。



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