李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長(77)。
蔚山サムスン精密化学工場内のポリシリコン生産法人SMPの新築工事現場で発生した水タンク破裂事故に対する責任を問うて、朴基錫(パク・ギソク)サムスンエンジニアリング代表取締役社長(59)を更迭したと、サムスン側が1日明らかにした。後任代表には朴重欽(パク・ジュンフム)運営総括副社長(59)を内定した。
今回の人事は李会長が何度も強調してきた「ワンストライクアウト」の典型だ。「安全・環境には妥協しない」とし、事故に対する責任を最高経営責任者(CEO)に問うという李会長の意志を確認したのだ。サムスンの関係者は「最近、安全・環境関連の事故を予防するための投資を大幅に増やし、安全意識を高めようとする組織文化の改善を推進する過程で、またこうした事故が発生し、当惑している」とし「今回の措置は、CEOを問責して安全意識を高めるための措置」と説明した。
さらに李会長は“衝撃療法”を加えた。事故が発生した場合、捜査結果が出た後に責任の所在を問うのが通念だが、今回は捜査が進行中の状況で断行した。李会長は今回の事故について報告を受けた後、「ありえないことが起きた。後進的な事故は根絶しなければいけない」と叱責したという。
先月26日、蔚山SMP新築現場で水タンクが破裂し、3人の死者を含む15人の死傷者が発生すると、サムスンは翌日の27日、遺族と国民に謝罪し、徹底した原因究明と再発防止を約束した。その後、自社の調査で、水タンク破裂の原因が従来の溶接工法ではなく、ボルトを使った新工法のためだったと明らかにした。
これと関連し、蔚山南部警察署はこの日、SMPの事務室と施工会社サムスンエンジニアリングの事務室など計5カ所に対する家宅捜索を実施した。警察は工事契約と許可、部品水質検査、安全などに関する文書を確保し、正確な責任の所在を調べている。
サムスンも今回の事故原因を綿密に調べ、代表更迭のほか、責任がある関係者を厳重問責する計画だ。朴重欽運営総括副社長の代表内定も“李健煕式”破格だ。ソウル大造船海洋工学科を卒業した朴氏は、先月初めにサムスン重工業からサムスンエンジニアリングに移った“造船海洋通”だ。金載烈(キム・ジェヨル)経営企画総括社長ら4人の副社長がいたが、移籍1カ月の朴氏が代表に内定した。サムスンの関係者は「今年上半期、実績の悪化に苦しんだサムスンエンジニアリングを危機から脱出させる“救援投手”として投入されたが、現場の実務と経営に明るく、やや早く前面に立つことになった」と説明した。
サムスンは今回の人事とともに、また安全を強化する総合対策を出した。まず「サムスン安全管理スタンダード」を制定し、10月末までに各系列会社に配布する予定だ。現在、国内だけでなく海外の関連法規とグローバル基準を分析し、外国コンサルティング会社に検証を依頼した状態だ。各系列会社はこのスタンダードに基づき、標準作業手続きなどを今年末までに改善する計画だ。
またサムスンは安全環境分野で経歴社員150人、新入社員150人を採用する従来の計画に加え、5大学に安全環境関連学科を新設する案を加えた。産学協力を通じて安全環境関連学科の優秀学生を育成する。
サムスンの関係者は「今年1月の半導体工場フッ化水素酸漏出事故でサムスン半導体は来年までに化学物質管理改善に1兆1000億ウォンを投資することにし、他のサムスン電子系列会社も近く投資金額を確定して発表する」と伝えた。
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