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【コラム】中国というオオカミが韓国の産業を襲う

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
1990年代末、当時の中国の朱鎔基首相は世界貿易機構(WTO)加入を推進した。業界の反発は大きかった。その時に流行した言葉が「オオカミがきた(狼来了)!」であった。“オオカミ(西側の企業)“に中国企業が食べられてしまうという危機感の表現だった。朱元首相は断固としていた。「オオカミは確かに来る。食べられないようにするには私たちが先に改革をして、産業をアップグレードしなければならない」。WTO加入によって改革を早めようとする“ショック療法”だった。中国は2001年末にWTOに加入し、2000年代に好況期を迎えることになる。

韓中自由貿易協定(FTA)交渉が、急流に乗っている状況だ。早ければ来月に基本指針(modality)交渉を終わらせて第2次協議に入ることになる。韓国内の一部でも“オオカミ論”が登場している。中国というオオカミが韓国の産業を襲うという憂慮だ。

韓国府は、情報技術(IT)・自動車・石油化学などの分野で得することができると話す。しかし容易ではないだろう。半導体・携帯電話・コンピューターなどのIT製品はすでに情報技術協定(ITA)によってほとんど無関税の恩恵を受けている。現代(ヒョンデ)起亜(キア)自動車は中国で売り切れないほどの自動車を現地生産している。中国業界の増設競争で見ると、石油化学分野の優位もその限界が明らかに見える。農水産物分野の開放で韓国の食卓を中国に譲り渡す可能性もある。“オオカミ”の襲撃だ。


それならば、なぜ韓中FTAを締結するべきなのか?朱元首相の“オオカミ対処法”が答えだ。韓中FTAを活用して両国の経済協力の新しいパラダイムを組まなければならないという話だ。

これまで両国交易の大きな枠組みは中間材-組み立て構造であった。韓国で中間材をつくって中国に輸出し、中国でこれを組み立てて米国や欧州などに輸出する形だ。韓国の輸出の70%前後が中間材である理由だ。しかしこの構造は今、崩れている。技術レベルが高まった中国企業は韓国の中間材輸入を減らしている。巨大中国経済はブラックホールのように韓国の産業と企業を吸い込んでいる。対中国1、2位輸出品であるLCDと半導体工場まで中国に渡って行ってしまっている。輸出は減り、雇用先も中国に奪われている。

“FTA”から突破口を開かなければならない。韓中FTAが妥結すれば、韓国は米国・欧州連合(EU)・中国など世界3大経済体へ向かう経済高速道路を敷くことになる。米国・EU企業が韓国にきて高付加価値製品をつくって中国に輸出する構造をつくらなければならない。韓国が、中国のまねできない“自由市場秩序”があることにおいて可能な話だ。ここで豊富な技術人材、安定した労働環境などが支えるならば韓国は中国へ行く前哨基地になることができる。“FTAハブ”パラダイムだ。それが中国を誘い込むことのできる韓国の経済の魅力だ。

現実はどうだろうか?まだ韓国産業界の労使関係は“竹棒デモ”レベルだ。韓国政府は経済民主化という枠組みにとらわれ、企業の足首をつかみ、理工系大学には依然として冷や飯を食わせている状況である。“オオカミ”がまさに近づいてきているというのにだ。

ハン・ウドク中国研究所所長



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