いわゆる橋渡し役の身分。こちらにもあちらにも強固な根をおろすことができない彼ら自分のアイデンティティの探求は、驚嘆すべき文学的成果として花開いている。彼らは植民地時代や分断、韓国戦争などを独特の視線でとらえているという評価を受けている。最も目につく所は日本だ。日本の最高権威の文学賞と言われる“芥川賞”受賞者の中で韓国系作家は4人にもなる。初めての受賞者である李恢成(イ・フェソン、作品『砧をうつ女』)をはじめ、李 良枝(イ・ヤンジ、作品『由熙』)、柳美里(ユ・ミリ、作品『家族シネマ』)、玄月(ヒョン・ウォル、作品『蔭の棲みか』)などが在日韓国人文学の脈を引き継いできた。
カン・ヨンフルや金恩国(キム・ウングク)、スーザン・チェ、イ・チャンレなどにつながる米国内の韓国系作家も主流文壇で認められている。金恩国(1932~2009)は韓国戦争当時、平壌(ピョンヤン)を背景に信仰と良心の葛藤を描いた『殉教者』(1964)で韓国系として最初にノーベル文学賞候補に上がった。