北朝鮮の突然の金剛山（クムガンサン）観光再開、離散家族の対面実務者会談の提案に関して柳吉在（リュ・ギルジェ）統一部長官が１１日、“まずは信頼”としながら当面は開城（ケソン）工業団地問題の解決に集中すると明らかにした。柳長官はこの日、北朝鮮政策フォーラムの朝食会講演で「韓国政府は会談でも対話でも、信頼を積み重ねることに集中する」として「会談の局面の一つ一つがどうなるのかをめぐって心配するよりは、少し遠く離れたところから私たちが今まで何をし、南北関係がどんな状況で、どんな南北関係をつくるのが望ましいかを考える」と話した。

柳長官はさらに「今の南北関係の信頼度は初歩的なレベルにもない」として「開城工業団地の再開をめぐって当局者間の会談をしているが『この問題を先に進展させるのが良くはないか。そうすれば金剛山も解決の糸口を見つけることができないか』という趣旨で（北側に）回答を送った」とした。開城工業団地の問題がどのように解決するかを試金石とするという意だ。

尹炳世（ユン・ビョンセ）外交部長官もこの日、中堅ジャーナリストの集い“寛勲（クァンフン）クラブ”の討論会に参加して「北朝鮮の対話攻勢は、国際社会の共助と圧迫に対する戦術的側面が強い」として「信頼が積み重なって非核化が進展しなければ、大規模支援や経済協力は適切ではない」と話した。彼は北朝鮮の相次ぐ対話攻勢について「金正恩（キム・ジョンウン）政権が（昨年）１２月から今年４月まで“強気、強気”で出て行って、孤立と国際社会の強力な圧迫だけを得た」として「５月以降、韓米、韓中首脳会談をたどりながら韓米中３カ国首脳間の北核不用や北朝鮮の非核化原則を確認するなど、対北朝鮮の共助体制が強化されたのが（北朝鮮の態度変化に）影響を及ぼした」と分析した。


尹長官は特に中国の変化を強調した。彼は「非核化問題に関し、中国の指導層の姿勢や態度が変化している」として「北朝鮮が、緩衝地帯というよりは戦略的側面で役に立たないという立場が広がっている」と説明した。また「第３次核実験後、中国までも対北朝鮮制裁に出る中で北朝鮮も『今度は違うな。つっつく穴がない』ということを感じたと思う」と付け加えた。

２人の長官のこうした発言は、北朝鮮の対話攻勢に誠実さがないと判断したことに伴ったと見られる。北朝鮮は１０日、開城工業団地の実務者交渉終了の３時間後に朝鮮中央通信を通じて「南側の誠意のない態度で会談の成果がなかった」と報道し、１１日にも核は放棄できないと明らかにした。すると北朝鮮はこの日午後「南側が提起した通り、私たちも開城工業団地の問題解決に集中する」として金剛山観光再開と離散家族対面の実務者会談を全て保留すると通知してきた。韓国政府は金剛山観光の再開会談は拒否して、離散家族会談は人道的レベルで１９日に板門店（パンムンジョム）で持つことを北側に修正提案した。

◆北朝鮮、黄江（ファンガン）ダム放流通知＝北朝鮮は黄海道礼成江（ファンヘド・イェソンガン）の黄江ダムの水門開放を１０日通知した。２０１０年以降の南北関係悪化でダム水門開放通知が中断されて３年ぶりだ。東国（トングク）大学のキム・ヨンヒョン北朝鮮学科教授は「北朝鮮の通知は一種の和解ジェスチャーであり、同時に梅雨期で雨の被害が深刻だということを知らせて食糧支援などを遠まわしに伝えている」と分析した。