※20日付本人のコラム「安倍、丸太の復讐を忘れたか」と関連し、趣旨とは異なり、日本にいらっしゃる原爆犠牲者と遺族を含め心に傷を負われた方々に遺憾のお言葉を申し上げます。
北朝鮮は1993年に核開発を宣言した。20年にわたり北朝鮮は世界をだまし続けた。いま米国と韓国ではオバマと朴槿恵(パク・クンヘ)が金正恩(キム・ジョンウン)を相手にしている。2人にはそれぞれ反面教師が2人ずついる。クリントンとブッシュ、金大中(キム・デジュン)と盧武鉉(ノ・ムヒョン)だ。
クリントンは米国の歴史上能力ある大統領の1人に選ばれる。ルインスキーとのスキャンダルはあったが経済で大きな業績を記録したためだ。彼の在任中に経済好況が長く続き黒字予算が達成された。北米自由貿易協定(NAFTA)と福祉改革もなされた。だが、クリントンは北朝鮮には徹底的にだまされた。彼は94年のジュネーブ枠組み合意で北朝鮮の核開発を防げるだろうと信じた。しかし北朝鮮は世界をまんまとだました。プルトニウムに代わりウラン核開発だった。ジュネーブ合意は2003年に崩れた。
ブッシュは徹底したキリスト教主義者だった。世界を善と悪で区分した。彼は「悪の政権」を倒すのに果敢だった。9・11テロで崩れたビルひとつにひとつずつブッシュは政権をつぶした。アフガニスタンのタリバンとイラクのフセイン政権が消えた。そんなカウボーイ・ブッシュも金正日(キム・ジョンイル)にはきっちりとだまされた。
今回は6カ国協議だった。ブッシュをはじめとする西側指導者は6カ国協議が開かれる限り北朝鮮の核が解決されていると信じた。しかし錯覚だった。これは息子が机に座っているから受験勉強を熱心にしていると信じているようなものだった。北朝鮮はブッシュ就任から5年ぶりに地下で核爆弾を爆発させた。6カ国協議は結局北朝鮮に時間とドルを与えた格好だった。6カ国協議は6年で破綻し、北朝鮮は2度目の核実験に成功した。
韓国の指導者はさらにだまされた。2000年6月に平壌(ピョンヤン)に南北首脳会談に行ってきた金大中大統領は衝撃的な誤判を出した。「もう韓半島から戦争の危険は消えた」。2001年にこんな話もした。「北は核を開発したこともなく開発する能力もない。もし北が核を開発するならば私が責任を負う」。金大中が純真な発言をした時、北朝鮮はウラン核開発に没頭していた。
北朝鮮の核に関する限り盧武鉉大統領は最悪だった。だまされたのでなく最初から目を閉じていたのと同じだ。彼は海外に出て同胞に北朝鮮の核を容認する発言をした。「北朝鮮の核主張は一理あるという側面もあるとみる」「北朝鮮は体制安全を保障されれば核開発をあきらめるだろうし、だれかを攻撃したりテロのために核開発をすると断定することはできない」。彼が断定できないというまさにその政権が米国でも、中国でも、日本でもなく韓国を核で脅している。
家長が外に出てだまされれば被害はそのまま家族がかぶる。指導者がだまされれば国民が被害にあう。先代がだまされれば後代が難しくなる。クリントンとブッシュがだまされたせいでオバマは悪性末期がんを抱え込むことになった。金大中と盧武鉉がだまされたせいで韓国国民は核恐喝の人質になっている。
3度目の核実験を終えた北朝鮮が再び対話偽装術を駆使している。核を絶対に放棄しないと宣言しておいても対話うんぬんする。これは金正恩スタイルで世界を試すものだ。朴槿恵大統領はだまされない自信があるのか。彼女はすでに一度偽装術にさらされた経験がある。2002年に彼女が北朝鮮を訪問すると金正日は歓心を買おうと緻密に計画した。核開発、収容所、飢餓のような暗い現実は徹底的に隠し、ハリウッドのセットのような平壌の施設だけ見せた。朴槿恵は結局北朝鮮の素肌を見ることができず偽の印象だけ持ってきた。
韓国の大統領が偉大な指導者として残るには必須の条件がある。それは北朝鮮にだまされないことだ。朴槿恵は平壌の思い出を忘れなければならない。
キム・ジン論説委員・政治専門記者
北朝鮮は1993年に核開発を宣言した。20年にわたり北朝鮮は世界をだまし続けた。いま米国と韓国ではオバマと朴槿恵(パク・クンヘ)が金正恩(キム・ジョンウン)を相手にしている。2人にはそれぞれ反面教師が2人ずついる。クリントンとブッシュ、金大中(キム・デジュン)と盧武鉉(ノ・ムヒョン)だ。
クリントンは米国の歴史上能力ある大統領の1人に選ばれる。ルインスキーとのスキャンダルはあったが経済で大きな業績を記録したためだ。彼の在任中に経済好況が長く続き黒字予算が達成された。北米自由貿易協定(NAFTA)と福祉改革もなされた。だが、クリントンは北朝鮮には徹底的にだまされた。彼は94年のジュネーブ枠組み合意で北朝鮮の核開発を防げるだろうと信じた。しかし北朝鮮は世界をまんまとだました。プルトニウムに代わりウラン核開発だった。ジュネーブ合意は2003年に崩れた。
ブッシュは徹底したキリスト教主義者だった。世界を善と悪で区分した。彼は「悪の政権」を倒すのに果敢だった。9・11テロで崩れたビルひとつにひとつずつブッシュは政権をつぶした。アフガニスタンのタリバンとイラクのフセイン政権が消えた。そんなカウボーイ・ブッシュも金正日(キム・ジョンイル)にはきっちりとだまされた。
今回は6カ国協議だった。ブッシュをはじめとする西側指導者は6カ国協議が開かれる限り北朝鮮の核が解決されていると信じた。しかし錯覚だった。これは息子が机に座っているから受験勉強を熱心にしていると信じているようなものだった。北朝鮮はブッシュ就任から5年ぶりに地下で核爆弾を爆発させた。6カ国協議は結局北朝鮮に時間とドルを与えた格好だった。6カ国協議は6年で破綻し、北朝鮮は2度目の核実験に成功した。
韓国の指導者はさらにだまされた。2000年6月に平壌(ピョンヤン)に南北首脳会談に行ってきた金大中大統領は衝撃的な誤判を出した。「もう韓半島から戦争の危険は消えた」。2001年にこんな話もした。「北は核を開発したこともなく開発する能力もない。もし北が核を開発するならば私が責任を負う」。金大中が純真な発言をした時、北朝鮮はウラン核開発に没頭していた。
北朝鮮の核に関する限り盧武鉉大統領は最悪だった。だまされたのでなく最初から目を閉じていたのと同じだ。彼は海外に出て同胞に北朝鮮の核を容認する発言をした。「北朝鮮の核主張は一理あるという側面もあるとみる」「北朝鮮は体制安全を保障されれば核開発をあきらめるだろうし、だれかを攻撃したりテロのために核開発をすると断定することはできない」。彼が断定できないというまさにその政権が米国でも、中国でも、日本でもなく韓国を核で脅している。
家長が外に出てだまされれば被害はそのまま家族がかぶる。指導者がだまされれば国民が被害にあう。先代がだまされれば後代が難しくなる。クリントンとブッシュがだまされたせいでオバマは悪性末期がんを抱え込むことになった。金大中と盧武鉉がだまされたせいで韓国国民は核恐喝の人質になっている。
3度目の核実験を終えた北朝鮮が再び対話偽装術を駆使している。核を絶対に放棄しないと宣言しておいても対話うんぬんする。これは金正恩スタイルで世界を試すものだ。朴槿恵大統領はだまされない自信があるのか。彼女はすでに一度偽装術にさらされた経験がある。2002年に彼女が北朝鮮を訪問すると金正日は歓心を買おうと緻密に計画した。核開発、収容所、飢餓のような暗い現実は徹底的に隠し、ハリウッドのセットのような平壌の施設だけ見せた。朴槿恵は結局北朝鮮の素肌を見ることができず偽の印象だけ持ってきた。
韓国の大統領が偉大な指導者として残るには必須の条件がある。それは北朝鮮にだまされないことだ。朴槿恵は平壌の思い出を忘れなければならない。
キム・ジン論説委員・政治専門記者
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