世界最大の芸術映画祭であるカンヌ国際映画祭が26日(フランス時間)の閉幕を控えて熱く燃え上がっている。15日の開幕式から現場を見守ってきた映画評論家チョン・チャンイル氏が今年の雰囲気を伝えてきた。
いつのまにかカンヌ映画祭の訪問も16回目だ。この時期、フランス南部の都市カンヌはいつも、ある種の胸の高鳴りを覚える。いつ、どのようにして、どんな魅惑や驚きが出現するか分からないからだ。
今年のカンヌはムン・ビョンゴン監督の『SAFE』(短編コンペティション部門)、キム・スジン監督の『SEON(THE LINE)』(シネファウンデーション)、ハン・ウンヨン監督の『Breathe Me』(批評家週間)の計3編の韓国短編映画だけを招待したので特別な期待を抱いていなかった。だが開幕6日目の20日(フランス時間)現在、予想のつかない状況になっている。
何より長編コンペティション部門でアジアの監督が予想以上の個性で強烈な印象を与えた。前例のない悪天候、偽銃撃事件などで汚された2013カンヌの序盤の雰囲気を反転させた。フランスや米国の作品が多すぎた今年のカンヌ映画祭で多様性を確保する中でのことだ。果たしてアジア映画がタイのアピチャートポン・ウィーラセータクンの『ブンミおじさんの森』以来3年ぶりに再びカンヌの最高栄誉を手にすることができるだろうか。
とりあえず中国の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の『天注定(A Touch of Sin)』とイランのアスガ-・ファルハディ監督によるフランス・イタリア合作映画『The Past』などが映画祭最高栄誉のパルムドール候補に選ばれている。
コーエン兄弟『Inside…』が先頭
アジア映画に対するカンヌデイリー(情報誌)の評価も好意的だ。出品作品計20編のうち8編の評点が発表されたが、スクリーンインターナショナル評者10人から総合平均3.3点(4点満点)を、ル・フィルム・フランセ評価団15人からおよそ3点を得た『Inside Llewyn Davis』(監督:米国ジョエル&イーサン・コーエン兄弟)に続き、2つの映画がそれぞれ3点と2.7点、2.8点と3点で上位グループを形成している。
これらだけでない。日本の是枝裕和監督の『そして父になる(Like Father、Like Son)』もやはりスクリーン評点2.5点で平均以上の好評を得ている。多少図式的なプロット・素材でも家族、特に子供たちを眺める監督特有の非催涙的な温かい視線が好評の主な理由だと思われる。
最終受賞の有無とは関係なく、2013カンヌでアジア監督の映画がおさめる収穫は確実なものに見える。その中心に賈樟柯監督がいる。『天注定』は端的に言うと『キル・ビル』(クエンティン・タランティーノ監督)の“賈樟柯バージョン”だ。巨大都市から田舎の村までの4つの違う地域的・社会的環境の現代中国を舞台に繰り広げられる4人の中心人物の話で、監督はタランティーノ風の直接的な暴力描写をいとわない。『小武(一瞬の夢)』、『三峽好人(長江哀歌)』などこれまでの作品の静寂で節制が効いた比喩的スタイルと比較すると大きな変わりようだ。
その暴力的残酷美学が、ただスタイル上の試みに終わるのではないということぐらいはあえて力説しなくても良いようだ。権力や金力に向かって疾走中の現代中国だけでなく、今日の世界に向けた監督のどうにもできない怒りと問題意識の表出するところであるからだ。
<カンヌ国際映画祭>賈樟柯・是枝監督が好評、アジアの力が生きている(2)
いつのまにかカンヌ映画祭の訪問も16回目だ。この時期、フランス南部の都市カンヌはいつも、ある種の胸の高鳴りを覚える。いつ、どのようにして、どんな魅惑や驚きが出現するか分からないからだ。
今年のカンヌはムン・ビョンゴン監督の『SAFE』(短編コンペティション部門)、キム・スジン監督の『SEON(THE LINE)』(シネファウンデーション)、ハン・ウンヨン監督の『Breathe Me』(批評家週間)の計3編の韓国短編映画だけを招待したので特別な期待を抱いていなかった。だが開幕6日目の20日(フランス時間)現在、予想のつかない状況になっている。
何より長編コンペティション部門でアジアの監督が予想以上の個性で強烈な印象を与えた。前例のない悪天候、偽銃撃事件などで汚された2013カンヌの序盤の雰囲気を反転させた。フランスや米国の作品が多すぎた今年のカンヌ映画祭で多様性を確保する中でのことだ。果たしてアジア映画がタイのアピチャートポン・ウィーラセータクンの『ブンミおじさんの森』以来3年ぶりに再びカンヌの最高栄誉を手にすることができるだろうか。
とりあえず中国の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の『天注定(A Touch of Sin)』とイランのアスガ-・ファルハディ監督によるフランス・イタリア合作映画『The Past』などが映画祭最高栄誉のパルムドール候補に選ばれている。
コーエン兄弟『Inside…』が先頭
アジア映画に対するカンヌデイリー(情報誌)の評価も好意的だ。出品作品計20編のうち8編の評点が発表されたが、スクリーンインターナショナル評者10人から総合平均3.3点(4点満点)を、ル・フィルム・フランセ評価団15人からおよそ3点を得た『Inside Llewyn Davis』(監督:米国ジョエル&イーサン・コーエン兄弟)に続き、2つの映画がそれぞれ3点と2.7点、2.8点と3点で上位グループを形成している。
これらだけでない。日本の是枝裕和監督の『そして父になる(Like Father、Like Son)』もやはりスクリーン評点2.5点で平均以上の好評を得ている。多少図式的なプロット・素材でも家族、特に子供たちを眺める監督特有の非催涙的な温かい視線が好評の主な理由だと思われる。
最終受賞の有無とは関係なく、2013カンヌでアジア監督の映画がおさめる収穫は確実なものに見える。その中心に賈樟柯監督がいる。『天注定』は端的に言うと『キル・ビル』(クエンティン・タランティーノ監督)の“賈樟柯バージョン”だ。巨大都市から田舎の村までの4つの違う地域的・社会的環境の現代中国を舞台に繰り広げられる4人の中心人物の話で、監督はタランティーノ風の直接的な暴力描写をいとわない。『小武(一瞬の夢)』、『三峽好人(長江哀歌)』などこれまでの作品の静寂で節制が効いた比喩的スタイルと比較すると大きな変わりようだ。
その暴力的残酷美学が、ただスタイル上の試みに終わるのではないということぐらいはあえて力説しなくても良いようだ。権力や金力に向かって疾走中の現代中国だけでなく、今日の世界に向けた監督のどうにもできない怒りと問題意識の表出するところであるからだ。
<カンヌ国際映画祭>賈樟柯・是枝監督が好評、アジアの力が生きている(2)
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