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【コラム】村上春樹の本の表紙=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
本が出てくる前に“読書会”を開いた書店、発売7時間46分で“超高速レビュー”を掲載した朝日新聞インターネット版、12日午前0時に発売が開始された村上春樹氏(64)の新しい小説公開が起こした熱風だ。“対岸の火”のように眺めていたこの騒動に参加し、書店にちょうど1冊残っていた本を取り上げたのは、表紙のためだった。

表紙のしま模様のイラストは、米国の色面抽象画家モーリス・ルイス(1912~62)の晩年の作品。『Pillar of Fire』というタイトルの、細くて長い色面画を真ん中にたてて、左右に著者の名前と長い題名(『色彩を持たない多崎つくると、 彼の巡礼の年』)を記した。話題の本としてはとても単純なデザインだ。ところで『色彩がない…』いう題名に相反する多彩なイラストを、なぜあえて使ったのだろうか。

小説の中で男性の主人公は高校時代の友人4人と会った。友人全員の性に、赤・青・白・黒を意味する漢字が入っていたが、自分の名前(多崎)だけは色と無関係なことに微妙な疎外感を感じた。1人だけ故郷を離れて東京の大学に進学した彼が、突然友人から絶交されて絶望におちいり、16年後、傷ついた過去を確かめ合って回復していく。主人公の名前には特定色の代わりに“多い”という字がある。すなわち“色彩がない”のは、色々な色を受け入れることができるという話だ。「記憶を隠すことはできても、歴史を変えることはできない」という女性の主人公の言葉のように、過去はどこかにずっと存在しているのだから勇気を出して対面しろという前向きなメッセージだ。それぞれの色が互いに平行線を描いて流れ、一つの作品を完成した表紙の図が今更ながら別のものに見える。


ルイスはジャクソン・ポロック(1912~56)の後に続く米国の抽象画家だ。薄めたアクリル染料をキャンバスに落とした後、流して染み込むようにする特有の技法は、ポロックのように染料をまき散らす誇張したジェスチャーとは差別化される。象徴的な色彩使用によってひたすらに宗教的な印象までかもし出した、しま模様のイラストが彼の最後の作品だった。

ニューヨークがすでに西欧美術の中心地となっても、ルイスはそちらと距離をおいてワシントンで静かに活動した。50歳に肺がん宣告を受けた後、まもなくして亡くなった。染料の有害な成分を長期間吸入したためだったとして深く惜しむ人たちもいる。小説の中の多崎のように、彼もまた、多くの色彩を受け入れたつもりなのであろうか。『 Pillar of Fire 』は2002年のニューヨーク ・クリスティーズで行われた競売イブニング・セールで27万3500ドル、今の為替レートで約3億ウォン(約2600万円)で売れた。

クォン・クンヨン文化スポーツ部門記者



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