金です。はいそうです。前に「黄」の字をつけて黄金と呼ばれるその金です。私ほど人間の愛を独占した物もないでしょう。老若男女、古今東西の区別はないです。私をめぐって起きた愛憎の戦い、いちいち話せば口が痛くなるだけです。ところで突然どういうことですかって？訴えたいことがあって出てきました。

このところ私の人気が話になりません。私を見つめる視線も以前と同じではないです。金上場指数ファンド（ＥＴＦ）をご存知でしょう。２００３年にオーストラリアで初めて作られ私の価格を上げるのに寄与した友人のことです。昨年まで２５００トンの金を買い入れ、「民間中央銀行」と呼ばれていました。米国とドイツの中央銀行を除くと誰よりも金をたくさん持っています。そんなこの友人、最近心変わりしました。今年に入って２カ月ほどの間に金を１４０トン以上売り払ってしまいました。過去最大規模としてフィナンシャルタイムズが今月初めに１面に大書特筆したりもしました。１９００ドルを超えた私の価格は最近１トロイオンス当たり１６００ドルを下回ります。これに対して世界の主要証券市場では「金の時間が終わり株式の時間がきた」というひそひそ話が一斉に出てきたりもしました。

私はその話に同意しません。もちろん私が金融不安やインフレで生きて行けているのはその通りです。世の中が安定すれば無視される私の運命を受け入れます。人々は話します。「最近のシェールガスブームで米国経済が物価上昇の心配をしなくても良くなり、欧州危機も沈静傾向に入り込んだ。長くうごめいていた日本まで動き始めた。したがって金、君の時代は終わったのだ」と。


果たしてそうでしょうか。韓国・トルコ・メキシコなど主要新興国の中央銀行が金を買い入れています。シェールガスブームでも国際原油価格は大きく下がっていません。原油価格は私の価格と正確に流れが一致します。その上インドと中国の金アクセサリー消費が回復しています。金需要の半分はアクセサリーです。まだあります。金鉱企業などの生産費用が１オンス当たり１５００ドルに迫りました。いまや地球上にほとんど残っていない金を無理に掘り出すにはそれだけ費用が増えるのです。

何より大きな慰めはみなさん、韓国人の金に対する愛です。このところ韓国では金インゴット買い占めブームが激しいです。新韓銀行によると昨年は月平均２００キログラム程度売れていたものが今年は１カ月に５００キログラム以上売れているそうです。「節税」が大きな理由です。新政権の地下経済陽性化と金融総合所得税強化を避ける絶妙の手段が金インゴットです。金インゴットは法的には貨幣でなく、譲渡税・相続税・贈与税を払う根拠がありません。おかげで６０００万ウォンほどの１キログラムのインゴットは在庫がなく売れないほどです。このような金人気が続いているのにどうして私の時代が終わりますか。ありがとうございます、韓国人のみなさん、忘れません。