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【コラム】脱北者も被害者だ(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
「私もスパイかもしれないので気を付けて下さい」。

政府傘下機関で統一教育講師として仕事をしている脱北者A氏(31)が最近、同僚に投げかけた冗談だ。ソウル市福祉政策課のY主務官(33)が脱北者に偽装してスパイ行為をした容疑で、先月26日に拘束起訴されたというニュースを知った後だった。A氏にとっては純度100%の冗談だったが、誰も笑わなかった。

彼は「ニュースが出た後、同僚たちの私に対する雰囲気がとてもよそよそしくなり、何か冗談を言わなければいけない雰囲気だったので言ったのに、かえって気まずくなった」と話した。同僚が「何のでたらめを言うのやら」と肩をたたいてくれるものだと考えたのは誤算だった。


Y主務官事件は彼の拘束起訴で一段落したのだが、脱北者社会は穏やかではない。Y主務官が脱北者およそ200人の身元情報を北朝鮮国家安全保衛部に伝達していたことで「私の情報も流出したら」という不安感も大きいが、それよりもさらに苦労するのは韓国社会の雰囲気によるものだ。脱北者全体を潜在的スパイ容疑者に追い込むようなものだからだ。

脱北者の関連論文を書くために2011年に会った深層面接の対象者に電話をかけてみた。皆ため息をついて「これまで以上に生きることに余裕がなくなった」と訴えた。

北朝鮮で大学まで出てきたが韓国に来た後、アカスリや介護の職を経て今は鉄くず販売業をするチュ・インヒ氏(仮名、44)は「今は人に会うのが恐ろしい」と語った。同じ脱北者が偽装スパイではないかと会うのが怖くて、韓国人にはスパイだと誤解されないか怖いためだと言った。(中央SUNDAY 第312号)



【コラム】脱北者も被害者だ(2)

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