◇お金で生活の楽しさを買えない理由
お金があれば、ぜいたくはできるだろうが、生活まで楽しめるわけではないという論文も発表された。ベルギー心理学者ジョディ・キュオイドバフの主導の下、数カ国の学者が参加した共同研究で、裕福な人であるほど生活の楽しみを満喫する能力が不足しているという結果が出てきた。
2010年に「心理科学(Psychological Science)」6月号に発表された論文で、お金があれば最も高級で貴重なものを所有できるが、お金が小さな幸せを享受できる能力も破壊する、と主張した。
お金で欲望を満たしても、生活の楽しみを感じられない理由は、日常生活で幸せを渇望するレベルがますます高まるためだと説明されたりもする。2010年の月刊「サイエンティフィックアメリカン」電子版8月10日付で、米国の幸福学専門家ソンジャ・リュボマスキーは、裕福な人がお金で幸せを買えると信じることになれば、日常的に浪費をするため、結局、人生を楽しむ能力を損なうことになる、と主張した。米国人の20%が2年ごとに自動車を買い換えるが、幸福感は長く続かないように、お金が人生の満足度を高めるのではない、と付け加えた。
韓国の場合もイースタリンの逆説が適用されるようだ。2005年から地球村の幸せを測定しているギャラップ世界世論調査(Gallup World Poll)によると、幸せだと答えた国民の割合は、GDPが8402ドルだった1993年も、2万2489ドルに増えた2011年も、全く同じく52%だった。
一方、文明の恩恵を受けられないマサイ族が、先進国の人に劣らず生活に満足しながら幸せに暮らしていることが分かった。南アフリカの遊牧民族のマサイ族は、泥で作った家で水道水や電気もなく、狩猟採集をしながら生活している。米国の心理学者アド・ディナーは15年間、マサイ族の村を何度も訪問し、文化生活を享有していなくても毎日楽しく暮らしていることを確認した。未開社会の部族民が文明社会の現代人と同じように生活に満足しているというのは、結局、幸せとは一言で定義しにくい概念であることを傍証している。
幸せの本質を研究する分野のポジティブ心理学(positive psychology)で最も重視する幸せの概念は、「主観的幸福(subjective well-being)」だ。主観的幸福は生活の満足度、ポジティブな情緒、ネガティブな情緒の3つの要素で構成される。例えば、個人的成就、家族・友人との関係、学校・職場での活動など自分の生活に満足度が高いほど、幸福感・楽しみなどのポジティブな情緒をよく感じるほど、悲しみ・倦怠のようなネガティブな情緒を少なく経験するほど、幸せな生活だと見る。
ディナーは主観的幸福(SWB)概念で複数の国の幸福度を測定した研究結果を何度も発表した。特に2010年8月に韓国心理学会がソウルで開催した2010国際シンポジウムで発表した「韓国での不幸」(Unhappiness in South Korea)は、ディナーの専門的な識見を遺憾なく表した。
ディナーはこの論文の冒頭で、「韓国は主観的幸福の側面で望ましい状態でない」と断言し、130カ国の13万7214人を対象に実施されたギャラップ世界世論調査の結果をその根拠に提示した。ディナーは韓国と主観的幸福を比較する対象に世界最高の富裕国の米国、幸せな国と認識されているデンマーク、経済大国の日本、世界最貧国の一つジンバブエの4カ国を選んだ。
生活の満足度を10点満点基準で測定した結果は、デンマーク8.0、米国7.2、日本6.5、韓国5.3、ジンバブエ3.8だった。ディナーは韓国が世界平均値(5.5)を下回る点を指摘しながら、「韓国は所得は世界上位国でありながら、幸せを感じる感情は世界下位レベルであることに驚く」と述べた。
ディナーの分析によると、韓国人の主観的幸福数値が所得水準に比べて低い理由は2つあるという。一つは物質主義、もう一つは社会的資本(social capital)のぜい弱性だ。
まず物質主義の場合、韓国人が5カ国のうち物質的価値を最も重視していることが分かった。物質的価値を評価する程度を10点満点で測定した結果、韓国は7.24となり、はるかに生活レベルが高い米国(5.45)と日本(6.01)はもちろん、ジンバブエ(5.77)よりも高い数値だった。
このように経済的な成功に人生の目標を置くことになれば、いくら多くの財産を集めても常に不足を感じ、満足な生活をするのは難しい。物質主義の捕虜になれば、たとえば分け合いや社会奉仕の大切さを知ることができないため、幸福感を味わうこともできない。ディナーは「所得が増えても韓国で主観的幸福を高める解決策にはならない」という結論を出し、「政治家、国民ともに経済に強力に焦点を合わせているが、韓国に見られるように、ひとまず一つの国が物質的繁栄の水準に到達すれば、社会的により大きな関心を傾けるべき別の側面が多い」と主張した。
(中央SUNDAY第307号)
“所得世界上位国”韓国、幸せを感じるのは“世界下位レベル”(3)
“所得世界上位国”韓国、幸せを感じるのは“世界下位レベル”(1)
お金があれば、ぜいたくはできるだろうが、生活まで楽しめるわけではないという論文も発表された。ベルギー心理学者ジョディ・キュオイドバフの主導の下、数カ国の学者が参加した共同研究で、裕福な人であるほど生活の楽しみを満喫する能力が不足しているという結果が出てきた。
2010年に「心理科学(Psychological Science)」6月号に発表された論文で、お金があれば最も高級で貴重なものを所有できるが、お金が小さな幸せを享受できる能力も破壊する、と主張した。
お金で欲望を満たしても、生活の楽しみを感じられない理由は、日常生活で幸せを渇望するレベルがますます高まるためだと説明されたりもする。2010年の月刊「サイエンティフィックアメリカン」電子版8月10日付で、米国の幸福学専門家ソンジャ・リュボマスキーは、裕福な人がお金で幸せを買えると信じることになれば、日常的に浪費をするため、結局、人生を楽しむ能力を損なうことになる、と主張した。米国人の20%が2年ごとに自動車を買い換えるが、幸福感は長く続かないように、お金が人生の満足度を高めるのではない、と付け加えた。
韓国の場合もイースタリンの逆説が適用されるようだ。2005年から地球村の幸せを測定しているギャラップ世界世論調査(Gallup World Poll)によると、幸せだと答えた国民の割合は、GDPが8402ドルだった1993年も、2万2489ドルに増えた2011年も、全く同じく52%だった。
一方、文明の恩恵を受けられないマサイ族が、先進国の人に劣らず生活に満足しながら幸せに暮らしていることが分かった。南アフリカの遊牧民族のマサイ族は、泥で作った家で水道水や電気もなく、狩猟採集をしながら生活している。米国の心理学者アド・ディナーは15年間、マサイ族の村を何度も訪問し、文化生活を享有していなくても毎日楽しく暮らしていることを確認した。未開社会の部族民が文明社会の現代人と同じように生活に満足しているというのは、結局、幸せとは一言で定義しにくい概念であることを傍証している。
幸せの本質を研究する分野のポジティブ心理学(positive psychology)で最も重視する幸せの概念は、「主観的幸福(subjective well-being)」だ。主観的幸福は生活の満足度、ポジティブな情緒、ネガティブな情緒の3つの要素で構成される。例えば、個人的成就、家族・友人との関係、学校・職場での活動など自分の生活に満足度が高いほど、幸福感・楽しみなどのポジティブな情緒をよく感じるほど、悲しみ・倦怠のようなネガティブな情緒を少なく経験するほど、幸せな生活だと見る。
ディナーは主観的幸福(SWB)概念で複数の国の幸福度を測定した研究結果を何度も発表した。特に2010年8月に韓国心理学会がソウルで開催した2010国際シンポジウムで発表した「韓国での不幸」(Unhappiness in South Korea)は、ディナーの専門的な識見を遺憾なく表した。
ディナーはこの論文の冒頭で、「韓国は主観的幸福の側面で望ましい状態でない」と断言し、130カ国の13万7214人を対象に実施されたギャラップ世界世論調査の結果をその根拠に提示した。ディナーは韓国と主観的幸福を比較する対象に世界最高の富裕国の米国、幸せな国と認識されているデンマーク、経済大国の日本、世界最貧国の一つジンバブエの4カ国を選んだ。
生活の満足度を10点満点基準で測定した結果は、デンマーク8.0、米国7.2、日本6.5、韓国5.3、ジンバブエ3.8だった。ディナーは韓国が世界平均値(5.5)を下回る点を指摘しながら、「韓国は所得は世界上位国でありながら、幸せを感じる感情は世界下位レベルであることに驚く」と述べた。
ディナーの分析によると、韓国人の主観的幸福数値が所得水準に比べて低い理由は2つあるという。一つは物質主義、もう一つは社会的資本(social capital)のぜい弱性だ。
まず物質主義の場合、韓国人が5カ国のうち物質的価値を最も重視していることが分かった。物質的価値を評価する程度を10点満点で測定した結果、韓国は7.24となり、はるかに生活レベルが高い米国(5.45)と日本(6.01)はもちろん、ジンバブエ(5.77)よりも高い数値だった。
このように経済的な成功に人生の目標を置くことになれば、いくら多くの財産を集めても常に不足を感じ、満足な生活をするのは難しい。物質主義の捕虜になれば、たとえば分け合いや社会奉仕の大切さを知ることができないため、幸福感を味わうこともできない。ディナーは「所得が増えても韓国で主観的幸福を高める解決策にはならない」という結論を出し、「政治家、国民ともに経済に強力に焦点を合わせているが、韓国に見られるように、ひとまず一つの国が物質的繁栄の水準に到達すれば、社会的により大きな関心を傾けるべき別の側面が多い」と主張した。
(中央SUNDAY第307号)
“所得世界上位国”韓国、幸せを感じるのは“世界下位レベル”(3)
“所得世界上位国”韓国、幸せを感じるのは“世界下位レベル”(1)
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