２日午後６時、引き継ぎ委員会の出入り記者に、趙允旋（チョ・ユンソン）報道官の名前で文字メッセージが入った。 「朴槿恵（パク・クネ）次期大統領が最近使用するバッグは国産の高価ブランド製品でなく、国内の零細企業が小さな店で作った低価格の製品」という内容だった。

なぜこのようなメッセージを送ったのか。 インターネットを見ると、主要ポータルの検索語１位が朴槿恵次期大統領が持っているというダチョウ革バッグのブランド（「ホミガ」）だった。 インターネットの反応は大きく３つに分かれる。 「大統領が国産ブランドを使うのはよい」という“擁護型”、「ブランドバッグは大韓民国女性の生活必需品」という“揶揄型”、「庶民のふりをした朴槿恵の超高価ブランドバッグ」という“疑惑拡大型”だ。

今回の件は、ホミガの代表があるメディアのインタビューで、「弊社のものに間違いない」と主張したことで始まった。 会社の関係者はモデル名に言及し、「価格は１２８万ウォン（約１０万円）」と話した。 ノイズマーケティングによるハプニングと見られる。


しかし波紋を広げたのは韓国の政治文化だ。 朴次期大統領がホミガのバッグを持つことを罪人のように見なす文化のことだ。 過去にもこういうことはいくらでもある。 昨年の大統領選挙では、文在寅（ムン・ジェイン）民主統合党大統領候補がブランド椅子、ブランドめがね、ブランド服などの疑惑に対する釈明に追われた。

０７年の大統領選挙当時は、李明博（イ・ミョンバク）ハンナラ党候補の夫人・金潤玉（キム・ユンオク）氏がターゲットになった。 金潤玉氏がエルメスのバッグを持っているという指摘が出ると、李大統領は謝罪までした。 当時、民主党の金賢美（キム・ヒョンミ）報道官は「金潤玉氏は１５００万ウォン（約１２０万円）相当の高級ブランド時計を使う」と主張し、虚偽事実公表容疑で懲役６月、執行猶予１年を言い渡された。 昨年の旧正月連休には、李大統領の孫が着ている上着がモンクレールという理由で批判が出ると、故盧武鉉（ノ・ムヒョン）前大統領の孫もバーバリーのコート・ワンピースを着ていたという反論にぶつかり、前・現大統領の孫の外套をめぐり攻防が繰り広げられた。

ブランド品を使用するからといって罪人のようにしてしまう風土。 もうやめるべきではないだろうか。 国を代表する指導者、その配偶者や親戚は必ず中低価格の製品を使用しなければならないのか。

大韓民国で初、世界でも珍しい独身女性大統領が、国産ブランドを着て首脳会談に出席し、話題を集めたと仮定してみよう。 そのブランドはどれほど大きな広告効果を得るだろうか。 オバマ米大統領のミシェル夫人がすでにその効果を立証している。 ニューヨーク新鋭デザイナーの服を主に着るミシェル夫人のファッションが話題になる度に、該当ブランドの価値が上がる。 「ミシェルスタイル」がもたらす経済的価値は３０億ドル（約３兆２８５０億ウォン）以上という。 朴次期大統領は物を長く使用することで有名だ。 靴も１０年以上、修理しながら履くという話もある。 考え方を変えてみよう。 庶民の風貌もよいが、世界１０位圏の経済規模国家の指導者なら、世界の注目を受けるファッションリーダーになることが国にとってより大きな利益になるのではないだろうか。

ホ・ジン政治国際部門記者