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【社説】不完全な公約の完全な履行は不可能=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
朴槿恵(パク・クネ)次期大統領が連日、強い公約実践意志を表している。 朴次期大統領は25日、大統領職引き継ぎ委員会経済1分科の業務報告を受ける席で、「強い意志で実践していけば、私たちがしようとすることはすべて実現できる」とし、政府の一部で提起された「公約修正論」を一蹴した。 朴次期大統領は「私が(公約や政策を)約束すれば、皆さん(引継ぎ委員会、政府)が守らなければいけない」と繰り返し強調した。 一度した約束(公約)はいかなる方法でも必ず守らなければならないという次期大統領の哲学と所信を改めて確認したのだ。

私たちはその間、韓国の政治に不信感を抱かせた原因の一つが、歴代政権と政治家の約束不履行だったという点で、朴次期大統領の公約実践意志には十分に共感する。 しかし朴次期大統領が自ら「公約の完全な履行」を繰り返し明言することが、果たして国家の最高指導者として賢明で望ましいことかについては疑問を抱く。 公約の完全履行が正当性を持とうとするなら、まず公約自体がすべて実現可能なほど完璧だという前提が成立しなければならない。 問題は、選挙の過程で提示されたいくつかの公約は、現実性が十分に検証されていないうえ、施行の優先順位も千差万別という点だ。 また、一つの公約が別の公約と衝突する可能性もあり、公約実践のための財源確保が当初の予想より難しくなることもある。 公約自体が完壁でなければ、その公約の完全な履行も不可能だ。 不完全な公約を無理に施行すれば副作用が生じるしかなく、それによる国家的な損失と信頼の低下はさらに深刻になる。

したがって朴次期大統領が敢えて「公約実践」を率先して明言することは、朴次期大統領と新政権の信頼性を傷つけるおそれがある。 すでに朴次期大統領の意中を推し量り、引き継ぎ委員会と政府、セヌリ党では「公約修正論」と「緩急調節論」が薄れている。 誰も次期大統領の言葉に反論できない雰囲気だ。 こうした状況で次期大統領が「私が約束すれば皆さんが守らなければいけない」と言えば、公約の適切性と優先順位に関する議論は不可能となる。 一部の人たちは独善と権威主義のムードを懸念している。


大統領は国の最高統治権者だ。 大統領が国民に対してできる最優先的な約束は、国民の生命と財産を守り、国民の生活の質を改善することだ。 この大原則に照らして、大統領選挙過程で提示した個別公約は副次的で、いくらでも修正できるものだ。 約束を守ることはよいことだ。 しかし公約という小さな約束に埋没し、「国利民福」というより大きな約束を崩してはならない。 朴次期大統領は「国民との約束を守る」という包括的な原則だけを明らかにすることで十分だ。 個別公約の実践可否と優先順位は、専門家の引き継ぎ委員と官僚が十分に検討し、現実的な実践案を作るよう任せるのが望ましい。



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