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【コラム】キム・ヨナ事件から見る韓国の告訴乱発の風潮

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
黄相旻(ファン・サンミン)教授に対するキム・ヨナの告訴は結局ハプニングで終わった。 「教育実習はショー」という黄教授の発言はキム・ヨナを不快にしただろう。くやしくもあっただろう。だが、この問題を刑事問題に持ち込んだことに対しては同意しがたい。大学生が教授をどうして告訴できるのかという次元の話ではない。いつからか韓国社会では刑事告訴をとても軽く考える告訴万能主義がはびこっている。

告訴は相手を前科者にするという強力な警告効果がある。そのため非難やネット上での攻撃に苦しめられる公人には有力な防御手段だ。憲法上の権利でもある。だが、それほどの強力な効果は告訴が自制されるべき理由でもある。人格がひどく傷つけられ他の方法では到底回復できない時、それで本当に加害者に対する刑事処罰を望む時に使う例外的手段だ。ところがキム・ヨナは弁護士を通じ、「これは正直なところ法廷にまで行く事案ではない。真の謝罪があるならばいつでも告訴を取り下げる」と話した。キム・ヨナ自ら処罰よりは刑事司法制度を利用して謝罪を引き出すという内心を表わしたもので適切ではなかった。結局15日に告訴を取り下げた。

告訴は社会全体的にも無料ではない。捜査を担当する検事と警察、そして最終結論を下す裁判官は国民の税金で運営される。法務部の資料によると昨年の告訴事件は52万件。全刑事事件の22%に達する。日本の告訴事件占有率の57倍に達する。個人間の対立と争いが濾過されずに集まる場合、捜査機関は本当に必要な凶悪・民生犯罪の捜査が疎かになるほかない。


こうした非能率を減らすためには告訴に責任が伴うという原則を明確に確立する必要がある。告訴と反訴で争う事件を捜査機関が適当に終わらせる慣行が問題だ。ナ・ギョンウォン前議員の事件を見てみよう。妻を誹謗したネットユーザーを起訴してくれとして現職判事のナ前議員の夫が検事に請託の電話をかけたという疑惑があるメディアによって提起された。告訴と反訴で真っ向から対立したこの事件で検察は全員を不起訴とした。「双方の主張は事実関係に対する評価の差であるだけ」というあいまいな結論が出された。しかし双方の争いが報道機関とインターネットを超えて刑事司法手続きに持ち込まれた以上、どちらか一方が告訴に対する責任を負うのが正しい。根拠のない名誉毀損なのか、正当な疑惑提起を誣告したのか検察は判断を下すべきだった。

カン・ヨンソク前議員が墜落した決定的契機も、セクハラ発言自体も問題だったが、これを報道した記者を誣告したためだ。彼はその後も各種告訴・告発を乱発して、「告訴男」というニックネームまで得た。有名人が先導する韓国の告訴乱発の風潮は明らかに少なからぬ社会的費用を払うほかない。「訴訟が少なくてこそ良い世の中」という初代大法院長金炳魯(キム・ビョンロ)先生の言葉が思い出される。





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