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【社説】韓国核心産業の心臓に向けられたジョブズの矛先

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
米アップルのスティーブ・ジョブズCEOが一昨日、クラウド市場参入を宣言した。やつれた姿で自ら新規サービスの「iCloud(アイクラウド)」と基本ソフト(OS)の「Lion(ライオン)」、iPhone(アイフォーン)、iPad(アイパッド)のOS「iOS5」を公開した。クラウドサービスは資料をサーバーに保存しておき、コンピューターや携帯電話などさまざまな端末機を通して利用する便利な機能だ。もちろんこのサービスはアップルの専有物ではない。米国のマイクロソフトやグーグルが一歩先に紹介した機能だ。しかしアップルはすでにiPod(アイポッド)とiPhone、iPadで新しいIT生態系を創造する能力を立証しているだけに警戒対象1号だ。

クラウドサービスが日常化されれば、世界産業地図に大きな変化をもたらすのは明らかだ。まずコンピューターや携帯電話のような端末機の機能が現在よりはるかに簡単になる。消費者はよりいっそう便利になるだろうが、電子機器製造業界にとっては悪夢になるかもしれない。それだけ端末機生産の付加価値が減るからだ。また薄くて軽い端末機は、半導体・LCDなどの電子部品もそれだけ少なくなるしかない。韓国は携帯電話と半導体の生産で生存している国だ。結局、ジョブズの矛先が韓国核心産業の心臓に向けられるようなものだ。

クラウドサービスの普遍化は、世界IT生態系の主導権をめぐる全面戦争を予告している。一つの生態系を掌握した企業が製造業界からコンテンツの流通にいたるまで、あらゆる分野に莫大な影響力を行使することになるだろう。極端な場合、端末機製造やコンテンツ生産会社、サーバー賃貸会社がすべて下請け会社に転落するかもしれない。アップルのクラウド市場参入には、世界のIT生態系を掌握するという野心があると見るしかない。韓国企業も全面戦争を避けられないのなら、しっかりと準備する必要がある。ハードウェアとソフトウェアはもちろん、創意的な発想まで、すべての能力を総動員して応戦しなければならないだろう。新しいスマートフォンの流れで少し油断する間に奈落に沈んだノキアの失敗を反面教師とするべきだ。

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