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【BOOK】藤本健二 『なぜ金正恩か』(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

左から金日成、金正日、金正恩。



同著によると、金正恩は韓国人を‘南朝鮮の奴’と呼ぶなど、良くない印象を持っているという。幼い頃、頭に来るとビー玉を兄の顔に投げつけ、60を過ぎた金日成(キム・イルソン)の副官を足で踏みつけてふざけるなど、無作法かつ荒々しい面もあると紹介している。後継ぎ体制安定のためには軍部統制が重要だとし、「張成沢(チャン・ソンテク)から4~5年かけて政治ノウハウを学びつつ、党と軍を確実に掌握する必要がある」と指摘する。高英姫(コ・ヨンヒ)が亡くなった後、事実上の正夫人となった金玉(キム・オク)が金正恩を陰で支えるだろうとも見通している。

これに正恩の生母の高英姫(2004年死亡)が脳梗塞のため箸を落としてで拾うことができなかった場面を目撃したことや金正日がフランス産の炭酸水ペリエを好むことなど、平壌ロイヤルファミリーの話も添えられていて興味を加えている。


藤本は金正恩に「近い将来、国際社会に編入できる方向に北を導いてくれることを願う」と締めくくっている。収容所行きを避けて2001年、急脱出するため、20歳年下で元歌手の北朝鮮妻と遅生まれの2人の子どもを置いて来た彼の切実な願いだ。彼が同著で金正恩を「正恩大将」と表現し、北朝鮮批判を表立ってできないのもこのような内情があるためだ。

情報当局と一部の北朝鮮専門家らは、藤本の証言に一部誇張があると見ている。彼が公開した金正恩の過去の写真は、真偽の論議を呼んだ。著者は「わたしも北朝鮮を去って久しいので、万事を‘真実はこうだ’と言い切ることができない」と同著の中で率直に告白している。

しかし‘金正恩情報’に対する彼の自負心は並ならない。今年10月、韓国版の準備のためソウルを訪れた際にインタビューを行い、筆者の著書『後継者 金正恩』を渡すと藤本は、「金正恩を見たこともない者がどうやってこれを書けるのか」と冗談を言うほどだった。

金根植(キム・グンシク)慶南(キョンナム)大学教授はこの本の最後の「論評」で、金正恩に関する1次資料を目の当たりにできる‘日照りの慈雨’と評価している。藤本の前著の大部分を焼き直ししている点が残念だが、金正恩に関する革新的な部分だけを選りすぐった総合ギフトセットだと言える。延坪島(ヨンピョンド)攻撃以降、北朝鮮の追加挑発の可能性や2011年の北朝鮮の青写真を知りたいなら、爆風の中心に立つ金正恩の人となりを知るうえで注目に値する著作だ。





【BOOK】藤本健二 『なぜ金正恩か』 (1)

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