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【時論】金正恩メッセージ-「もう平時はない」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)攻撃と韓米西海(ソヘ、黄海)合同訓練に関する記事の一つが目を引いた。「北方境界線での交戦が金日成(キム・イルソン)大学の学生たちに知らされ、全面戦争に広がる可能性があるという緊張感が広がり、一時大学全体がざわついた。金正恩(キム・ジョンウン)が延坪島を攻撃した該当部隊を祝ったといううわさが学校に広がった」という内容だ。前線での事態が首都の平壌(ピョンヤン)にまで伝えられ、その事態に後継者が介入しているという話だ。記事は大きく扱われてはいないが、ここに北朝鮮の延坪島砲撃が持つ一つの本質が含まれている。それは病気の絶対権力者、金正日(キム・ジョンイル)から若い後継者、金正恩への権力委譲だ。

1990年代初めの東欧社会主義国家の崩壊、金日成の死亡、大水害などで体制危機に陥った金正日は、新しい統治イデオロギーとして「先軍領導」を打ち出した。人民軍の革命的な気質と戦闘力に基づき、社会主義を保衛し建設していくということだ。言葉は社会主義保衛だが、実際は金日成を始祖とする‘金氏一族’の永遠の統治がその目的だ。95年に金正日のタバクソル哨所視察で始まった先軍政治の旗は10余年間にわたり北朝鮮体制の維持に寄与した。‘苦難の行軍’を乗り越え、00年代初期には経済成長もプラスに転じた。

しかし08年8月、金正日が脳卒中で倒れ、先軍政治は重大な難関にぶつかった。金正日が元気なら、疲弊した経済復旧に全力を注ぎながらも、継承手続きを円滑に踏むだろう。しかし金正日の病気のため「後継構図の早期ソフトランディング」という至難の課題が追加されたのだ。ここには必ず満たすべきいくつかの条件がある。食の問題から解決しなければならない。安保の側面では韓米同盟への対応策も準備する必要がある。すべて中国の支援が切実な課題だ。病人の金正日が今年2度も中国を訪問した背景だ。


しかしこの程度では26歳の青年、金正恩が後継者として定着するのは難しい。国政経験が浅いうえ、祖父や父のような権力闘争の経験や指導者としてのカリスマがないからだ。こういう場合の緊要な処方せんが緊張高揚による内部団結だ。すべての社会を戦時と類似した状況へ向かわせるのだ。そうしてこそ住民の間に「私たちがこれから生きていくためには指導者、すなわち金正恩を中心に団結しなければいけない」という気流が形成される。金日成大学に延坪島砲撃が伝えられたのも、こうした脈絡だと考えれば間違いない。



【時論】金正恩メッセージ-「もう平時はない」(2)

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