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【コラム】‘置いてけぼり’を食らったカーター氏の訪朝

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
 「北朝鮮問題に対する私の考えはオバマ政権とは違う」。3月に訪韓したジミー・カーター元米大統領は、ソウルにいる米国人高官らと会った席でこのように語った。 カーター氏は翌日の公開講演でも「一方的な対北朝鮮制裁は逆効果をもたらすおそれがある。 米国と韓国がまず北朝鮮に対して関係正常化の努力をしなければならない」と力説した。 「金日成(キム・イルソン)主席もそうであり、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長も同じように願っているのは米国との直接対話だ。 韓国と米国がまず制限のない対話を提案すれば、北朝鮮も受け入れるだろう」と強調した。

消息筋によると、カーター氏はこの時すでにオバマ米大統領側から訪朝に対する同意を得ていたという。 自身が世界各地でしてきた「愛の家づくり」(ハビタット)事業を北朝鮮でもする考えであり、それをきっかけに金正日を説得し、韓半島情勢の緩和を支援するということ、この2つがカーター氏の訪朝目的だった。 しかしカーター氏の平壌(ピョンヤン)行きは、自身の訪韓直後の3月26日、天安(チョンアン)艦事件が発生したことで無期限延期となった。

そして7月初め、平壌を訪れたパク・ハンシク米ジョージア大教授が北朝鮮側のカーター氏招請意思を伝え、カーター氏は16年ぶりに2度目の訪朝をすることになった。 名目は北朝鮮に拘束された米国人ゴメス氏の釈放だったが、カーター氏が金正日との面談を念頭に置かずに平壌を訪れたはずはない。


カーター氏の周辺の人たちによると、カーター氏は確実に「金正日が会う」という北側の確約(assurance)を受けて北朝鮮を訪問した。 パク教授は「カーター氏のような人が釈放問題だけを持って北朝鮮に行くはずがない。 (金正日に会い)韓半島情勢に関するいろんな話をするだろう」と話していた。

しかし金正日はカーター氏が訪朝した日、中国行きの列車に乗った。 1994年に戦争危機を迎えた第1次核危機当時、平壌を訪れて金日成と談判した末、朝米を解氷に導いたカーター発ドラマは再演されなかった。 カーター氏は訪朝3日目に笑顔でゴメス氏と米国行きの飛行機に乗ったが、帰国後に予定された記者会見をキャンセルしたことで、失敗した訪朝に対する不快感を表した。

カーター氏の失敗は、金正日・北朝鮮との下手な対話の試みの危険性をよく表している。 冷酷な利害計算の中で信義や常識とは距離がある行動をためらわずにする集団であることを再確認させたからだ。 国内の左派は「カーター氏が北朝鮮を訪問すれば朝米間に別途の妥協が出てくる可能性がある」と歓迎し、政府の対北朝鮮政策を攻撃する素材にした。 しかし結果を見ると、むしろカーター氏は、「いま訪朝すれば北朝鮮に利用されるだけかもしれない」と心配した韓米高官の言葉に耳を傾けるべきだったと後悔しているのではないだろうか。

もちろん北朝鮮とは対話をしなければならない。 当為であり現実だ。 しかし対北朝鮮制裁それ自体が目的ではないように、対話もそれ自体が目的ではない。 北朝鮮が非核化に誠意を見せ、天安艦事件に最小限の誠意を示せば、対話は明日にでも始められる。 しかし北朝鮮にこうした姿勢が全く見えない状況で、外形だけを意識して対話を試み、平壌の善意だけを信じて訪朝すれば、‘置いてけぼり’を食らったカーター氏のように悲劇だけが繰り返されるおそれがある。

姜賛昊(カン・チャンホ)政治部門次長



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