スパイと疑われて16年間にわたり監獄生活をした男性が26年ぶりに寃罪を晴らした。
ソウル高裁は8日、国家保安法違反(スパイ)容疑で起訴され、1984年に無期懲役確定判決を受けたチョン氏(69)の再審で、原審を破棄して無罪を宣告した。
ソウル高裁は「旧国家安全企画部(安企部)はチョン氏を不法監禁し、各種拷問と過酷な行為を加え、虚偽自白を受けた」とし「検察が作成したチョン氏の被疑者尋問調書などはすべて証拠能力がない」と明らかにした。また「チョン氏は権威主義統治時代の違法な公権力行使によって16年という長い歳月の間、刑務所で大きな苦痛を受けた。国家が犯した過ちについて容赦を求める」と伝えた。
チョン氏は65年10月、西海(ソヘ、黄海)非武装地帯で貝を獲っていたところ北朝鮮に拉致され、1カ月後に帰還した。しかし帰還してから18年後の83年、北へ渡った7親等の親せきに会ったという容疑で安企部がチョン氏を強制連行した。チョン氏は38日間にわたり不法拘禁され、拷問などを受け、「軍事機密を探知し、南派された親せきに報告し、工作金を受けた」と虚偽の自白をした。
チョン氏は無期懲役刑を受けた後、16年間服役し、98年に仮釈放された。「真実・和解のための過去史整理委員会」がこの事件の真相究明を決め、チョン氏は昨年再審を請求した。
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