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【海外作家探訪】「想像力は私の力」…森見登美彦/日本



日本の小説家・森見登美彦氏(30)は小説家の夢をあきらめようと考えていた頃に書いた作品で作家の道に入った。 ほとんど自暴自棄の心情で書いた「太陽の搭」が03年日本ファンタジーノベル大賞を受賞したのだ。 当時、日本文壇は森見氏に「京都の天才」「21世紀の日本の新しい才能」と華麗な修飾語を惜しまなかった。 「太陽の搭」は京都大の学生の「私」を主人公にしたモノローグ小説で、古風の文体とシニカルなユーモアで高い評価を受けた。

その後、『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話大系』など新作を発表し、森見氏ならではの「ファンタジーの力」を遺憾なく見せた。 愉快で非現実的なキャラクターを登場させ、日本の古都・京都を背景に現実と妄想が入り混じった第3の空間を通じて想像力を展開させた。


恋愛ファンタジーから奇譚まで森見氏の想像力はどこからくるのか。 最近、森見氏に東京で会った。

--コミカルタッチの「太陽の搭」や「夜は短し歩けよ乙女』とは違い、「きつねのはなし」は正反対の雰囲気だ。 趣向の変化があったのか。

「そうではない。 もともと私がよく書いていた作品は『きつねのはなし』のようなものが多かった。 ‘日本ファンタジーノベル大賞’に応募する時、全く異なる雰囲気の2作品を応募したが、従来の趣向と違う形で書いてみた『太陽の搭』が最終候補に残ったので自分でも驚いた」

--「きつねのはなし」は雰囲気が独特だ。 奇譚に関心を抱くようになったきっかけは。

「大学当時、怪談というものを時々読んでいたが、内田百間に魅了された。 彼の作品を真似て文を書きながらここまで来たようだ」。(内田百間=1889-1971。夏目漱石門下の小説家・文筆家。 恐怖を表現した小説と独特のユーモアあふれる随筆などで有名)

--大学生の主人公が多い。

「愉快で少し変わった話には大学生を主人公として登場させるのが最もよい。 私の思い通りに動かすことができる。 大学生は大人だが、相対的に自由で、既成世代との境界があいまいな点もいい。 家族の扶養など複雑な問題に巻き込まれることもない。」(笑)。

--京都は森見氏の小説のもう一つの主人公と言われるが。

「日本人なら京都に対して憧れや幻想を抱いている人が多い。 普通の都市にすぎないが、『京都だからこそこうした神秘的なことが起きるかもしれない』と感じて寛容に受け入れてもらえる」

--古風な文章はどこから来たのか。

「大学生当時、昭和初期や明治時代の作品を読んだ。 そのおかげでこうした文体には慣れているほうだ。 しかし‘森見体’というのに縛られたくはない」

--あなたの想像力に最も影響を及ぼしたものは。

「本とアニメ。 母は本が大好きだった。 私が文章を書くのが好きだということを知り、原稿用紙を初めて買ってくれた。 宮崎駿、押井守などアニメ監督が本当に好きだ。 しかし最も大きな影響を受けた作家はやはり内田百間。 私は現実的なものはうまく書けない。 それで日常的な部分はできるだけ現実的に描写し、残りの部分は自由に書いている。 私が最も好きな日常的な背景は、ぶらぶらと歩いているうちに偶然知らない世界へ入っていき、またそこから現在の場所に戻ってくるという話だ」

◇森見登美彦=1979年日本奈良県生まれ。 京都大学を卒業した後、大学院農学研究科修士課程修了。 大学院生だった03年に「太陽の搭」でデビュー。 06年には「夜は短し歩けよ乙女」で第137回直木賞候補になり、第20回山本周五郎賞を受賞した。



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