ブートン:オバマ氏のビジョンは、ブッシュ政権の政策失敗による国際社会での否定的なイメージを緩和させたものの、挑戦も手強い。ひとまず同氏は、国際問題で米国の指導力を維持しつつ、欧州連合(EU)などの協力を得なければならない。また米国のソフトパワーだけでは解決できない国際懸案が多いだけに、経済力や軍事力などハードパワーにソフトパワーを適切に結びつけねばならない。ここに現在最も急がれるのが経済再建であるだけに、国際問題の場合、優先順位が低くなる可能性がある。国際問題を扱う非営利法人の設立は急がれる問題とは言えない。
イ:ミドルパワーとして、韓国はソフトパワーに関心が高い。ハードパワーでは日本、中国と競争できないからだ。今年6月に発表されたCCGA、EAIの共同調査で、韓国のソフトパワー(100点満点で58.3点)が中国(56.3点)を上回ったのは意外だった。韓国のソフトパワーは何であり、どのように強化すべきか。
ブートン:ソフトパワーの形成には時間がかかる。米国のソフトパワーがブッシュ政権によって一部傷つけられたとはいうものの、第二次世界大戦以降、60年以上にわたって積み上げた遺産がある。中国は経済開放から30年も経っておらず、世界経済のエンジンに浮上してからも10年前後となる。米国人は韓国戦争(1950~53)以降、同盟関係を維持してきた韓国を中国より高く評価する。だからと言って安堵(あんど)してはいけない。多国間外交に積極的に加わるなど、韓国の国際社会でのスタンス拡大に向けた、一貫した努力が必要とされる。
イ:李明博(イ・ミョンバク)大統領は韓国のソフトパワーと国家ブランドの向上に努めている。発展途上国に韓国の経済成長モデルを輸出する案も進められている。だが米国人の韓国への関心は低くなりつつある。韓国のソフトパワーと外交的な影響力を拡大できる方策は。
ブートン:カリフォルニア大学バークレー校のロバート・スカラピーノ名誉教授は、韓国を「アジアの挺子(fullcrum)」と表現した。日本、中国など域内の超大国の利害関係を調整できるという意味だ。韓国がよこしまな心を抱かない仲裁者になることができれば、挺子の役割を果たしつつ、ソフトパワーを極大化できる。北朝鮮の核など短期的な懸案にこだわりすぎることなく、長期的な見地から、東アジアの利害関係を調整する役割を果たすことができるだろう。
◇マ-シャル・ブートン=ハーバード大で歴史学を専攻し、シカゴ大で政治学博士学位を取得した。米国防総省の政策アナリストを経て、20年間にわたりアジア・ソサエティーの副委員長を務めた。01年からCCGAを率いている。同氏の著書『外交の断絶』(原題:「The Foreign Policy Disconnect」)はソフトパワーの主唱者であるハーバード大のジョセフ・ナイ教授から「米国の外交政策を理解したいと思う人にとては必読書だ」という評価を受けた。
「韓国、東アジアの対立仲裁できる適任者」(1)
イ:ミドルパワーとして、韓国はソフトパワーに関心が高い。ハードパワーでは日本、中国と競争できないからだ。今年6月に発表されたCCGA、EAIの共同調査で、韓国のソフトパワー(100点満点で58.3点)が中国(56.3点)を上回ったのは意外だった。韓国のソフトパワーは何であり、どのように強化すべきか。
ブートン:ソフトパワーの形成には時間がかかる。米国のソフトパワーがブッシュ政権によって一部傷つけられたとはいうものの、第二次世界大戦以降、60年以上にわたって積み上げた遺産がある。中国は経済開放から30年も経っておらず、世界経済のエンジンに浮上してからも10年前後となる。米国人は韓国戦争(1950~53)以降、同盟関係を維持してきた韓国を中国より高く評価する。だからと言って安堵(あんど)してはいけない。多国間外交に積極的に加わるなど、韓国の国際社会でのスタンス拡大に向けた、一貫した努力が必要とされる。
イ:李明博(イ・ミョンバク)大統領は韓国のソフトパワーと国家ブランドの向上に努めている。発展途上国に韓国の経済成長モデルを輸出する案も進められている。だが米国人の韓国への関心は低くなりつつある。韓国のソフトパワーと外交的な影響力を拡大できる方策は。
ブートン:カリフォルニア大学バークレー校のロバート・スカラピーノ名誉教授は、韓国を「アジアの挺子(fullcrum)」と表現した。日本、中国など域内の超大国の利害関係を調整できるという意味だ。韓国がよこしまな心を抱かない仲裁者になることができれば、挺子の役割を果たしつつ、ソフトパワーを極大化できる。北朝鮮の核など短期的な懸案にこだわりすぎることなく、長期的な見地から、東アジアの利害関係を調整する役割を果たすことができるだろう。
◇マ-シャル・ブートン=ハーバード大で歴史学を専攻し、シカゴ大で政治学博士学位を取得した。米国防総省の政策アナリストを経て、20年間にわたりアジア・ソサエティーの副委員長を務めた。01年からCCGAを率いている。同氏の著書『外交の断絶』(原題:「The Foreign Policy Disconnect」)はソフトパワーの主唱者であるハーバード大のジョセフ・ナイ教授から「米国の外交政策を理解したいと思う人にとては必読書だ」という評価を受けた。
「韓国、東アジアの対立仲裁できる適任者」(1)
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