現代の国際政治学で最も有力な命題は「民主主義国同士は戦争はしない」という命題である。いうまでもなく、18世紀末のドイツの哲学者イマニュエル・カントが「永遠平和のために」で展開した議論を発展させたものである。民主主義国が戦争に関与することは歴史的に珍しくない。しかし、1980年代にアメリカのマイケル・ドイル教授が、近代の戦争のリストを検討して、民主主義国と民主主義国とが戦争しあった事例が一件もないとの論文を発表したとき、世界の学界は大変な衝撃を受けた。ドイル教授によれば、民主主義国が戦争をするときは、相手方に民主主義国がいない場合のみなのである。
民主主義が平和につながるという説は、それまで、現実とは遊離した理想主義であると思われる傾向があった。しかし、民主主義国同士が戦争をした事例がないという歴史的事実は、民主主義による平和という考え方に大変な説得力を与えたのである。もともとアメリカ外交には、民主主義による平和という考え方は強かったが、この説の登場によって、民主主義国を増やせば世界は平和になるという見解は、現実の戦略となっていった。アメリカのクリントン政権、さらにいえばブッシュ政権自体のネオコンの人々の考え方の中にも、この民主主義平和論が浸透している。社会現象に関して、唯一例外のない法則だと言う人まで現れた。
民主主義が平和につながるという説は、それまで、現実とは遊離した理想主義であると思われる傾向があった。しかし、民主主義国同士が戦争をした事例がないという歴史的事実は、民主主義による平和という考え方に大変な説得力を与えたのである。もともとアメリカ外交には、民主主義による平和という考え方は強かったが、この説の登場によって、民主主義国を増やせば世界は平和になるという見解は、現実の戦略となっていった。アメリカのクリントン政権、さらにいえばブッシュ政権自体のネオコンの人々の考え方の中にも、この民主主義平和論が浸透している。社会現象に関して、唯一例外のない法則だと言う人まで現れた。
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