イスラエル軍の死傷者を正確に予測するのは不可能だ。しかし過去の戦闘事例を参考にすると、概略的な範囲は類推できる。ガザ地区の地上作戦は２００９年と２０１４年にあった。しかし予備軍の動員なく小規模で進めたため、現在と比較することはできない。その代わりに戦闘の規模を考慮して２００４年の第２次ファルージャ戦闘、２００６年のレバノン戦争が参考になる。

第２次ファルージャ戦闘とは、米海兵隊がイラク反乱軍を相手に、約２０万人が居住する都市地域で遂行した鎮圧作戦だ。戦死者は米軍１０７人、反乱軍約１０００－２０００人が発生した。損失比率は「１：１０－１：２０」と分析される。全般的な軍事作戦は成功と評価されている。当時、反乱軍の防御作戦準備期間が１カ月にすぎなかったため、米軍の作戦は比較的容易だったという意見もある。

第２次レバノン戦争はイスラエル軍がヒズボラを相手に小都市が散在する地域で遂行した作戦だ。戦死者はイスラエルが１１９人、ヒズボラが約５００人だった。損失比率は「１：５」だ。軍事作戦の成否に対する評価は否定的だ。戦争直後、真相調査のためのウィノグラード委員会が編成され、これを通じてイスラエル軍のいくつかの問題および限界などが指摘された。


ハマスの全体兵力を最大３万人（ストックホルム国際平和研究所）で仮定して損失比率を適用すると、概略的な戦死者規模を類推できる。少なければ１５００人（１：２０適用）、標準的なら３０００人（１：１０適用）、多ければ６０００人（１：５適用）と評価される。負傷者の規模は通常、戦死者の４、５倍だ。イスラエルが耐えられる死傷者の規模はどの程度か。イスラエルが危機に直面した第４次中東戦争（１９７３年、戦死者２６８７人、負傷者７２５１人）が参考になる。

結論的に都心市街地での戦闘は最高レベルの軍隊にも最も難しい作戦だ。特に民間人と混在する状態で宗教または理念で武装した敵を相手にする場合はなおさらだ。第２次ファルージャ戦闘に投入されたある兵士は「建物の出入り口を開くたびに地獄の扉が開く感じだった」と語った。イスラエルの地上作戦も予想以上に長くなり、死傷者の規模も増える可能性がある。

バン・ジョングァン／ソウル大学産学協力教授／予備役陸軍少将


【コラム】自爆特攻にブービートラップまで…イスラエル地上戦、地獄の扉を開いたのか（１）